また、知識を学ぶ際には、その知識を覚えると同時に、「なぜそうなるのか」を自分の頭でしっかりと考えながら理解しなければなりません。そうすることによって、知識力だけではなく思考力も鍛えられるようになるのです。
さまざまな知識を習得していけば、ある日突然、自然のうちに自らの視野が広がっていることが実感できるようになります。そして、視野が広がれば広がるほど、いつの間にか本質を見定める洞察力が磨かれて、特定のジャンルの知識だけでは到達できないようなすぐれた分析や判断ができるようになります。
株価暴落の原因は、地政学リスクではない
さて、さまざまな識者の方々の解説を聞いていると、年初からの株価暴落や円高進行の原因を「地政学リスク」の一言で片付けてしまっているようですが、これらの解説は昨年と今年の相場の質的な違いを認識していない後講釈にすぎません(質的にどう変わってしまったのかについては、前回の『オイルマネーが戻らないと2万円超えは困難』を参照いただきたいと思います)。
昨年8月中旬までの株式市場を見ていればわかるように、相場の地合いが良好で耐久力が強まっている時には、地政学リスクなどはものともしないものです。実際に昨年もギリシャ危機の再燃をはじめ、イエメンでの内戦、シリア・イラクの内戦泥沼化、パリでのテロなどが起こりましたが、これらが株式市場に大きなダメージを与えたということはありませんでした。
おまけに、日本のメディアではパリのテロばかりが盛んに報道されていましたが、アフリカや中東では毎日のようにテロが起こっていたのです。すなわち、昨年もさまざまな地政学リスクが起こっていたのであり、株式市場や円相場はチャイナ・ショック前までは大して悪影響を受けていなかったわけです。
ところが、チャイナ・ショック以降、相場の地合いが悪くなったうえに耐久力までも弱まったために、今年に入ってからの株式市場はちょっとした悪材料にも敏感に反応するようになっていました。『日本株は、いよいよバブルの領域に入った』(6月25日)や『原油価格、1バレル30ドル時代が来る』(8月11日)、『錬金術によるアメリカの株高は続かない』(10月7日)、『円安終焉のカウントダウンが始まった』(12月14日)などで述べた諸要因が複雑に絡み合いながら、株安・円高への圧力がマグマのように貯まっていたのです。
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