ECBのマイナス金利で欧州経済は泥沼へ 「南北問題」による弊害は確実に重くなる

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南欧諸国の中銀の実質的なトップであるドラギとECB理事会の穏健派は、単に燃料を追加すればクラッチが壊れていても自動車を走らせることができると考えているようだ。ワイトマン独連銀総裁やオランダ銀行(中銀)のクノット総裁といった理事会の強硬派はこうした手法を愚策と考えているが、彼らは少数派だ。

米国の量的緩和は資本市場を通じて機能したため、景気刺激策として有効だった。しかし、欧州では統合された資本市場がないため、中銀の金融政策は銀行の貸出チャネルだけを通じて機能するため、債券及び株式の価格を押し上げ歪ませてしまう。

北から南への富の移転

より深刻な問題としてECBの政策は、ドイツやフィンランド、オランダといった強いユーロ圏北部の国々の (退職者を含む) 貯蓄者から、フランスやギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインなど南部諸国の債務者に相当規模の富を再分配させている。この富の移動は経済通貨同盟(EMU)の管轄とされたことはない。特に変革が特定の国々を利する場合、EMUの抜本的な構造変革を強制する義務がECBにないことは明らかだ。

ECBの現手法をめぐる問題は深刻だが、ECBはそれにこだわっているようだ。少なからず、量的緩和を受けた人の数がそれを引き受ける人の数よりも多いことが理由のようである。ECBがこの奇妙で無責任な方策を続ければ続けるほど、発進しようとした車が制御を失う可能性が大きくなる。

シルベスター・アイフィンガー ティルブルフ大学(オランダ)教授

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シルベスター・アイフィンガー / Sylvester Eijffinger

オランダのティルブルフ大学教授(金融経済学)

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