金融政策期待の投資行動には「意味がない」 今こそ投資対象の資産を広げることが必要

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株式市場では、10日のECB理事会および「ドラギマジック」に注目が集まっている(ロイター/アフロ)

3月9日の日本株は3日続落となった。11日のメジャーSQを前に、ポジションの乗り換えが進む中、買い手不在の状況からじりじりと水準を下げる展開にある。個人投資家の高値での買いが積み上がっているわけでないため急落は避けられているが、買い材料にも乏しい。さらにバリュエーション面でも割安感がなく、当面は下値を探る展開になりそうである。

前回の本欄では「今回の戻り局面をうまく利用して、持ち株を売り切ることが肝要である。そうすれば、その後の下落局面でゆっくりと買い場を探ることができる」とした。また、筆者が毎日発行しているメルマガでも「1万7000円までの戻りは売り」とし、日経平均先物を利用した売り推奨を行った。

円高、業績リスクを勘案すると割安感はない

このような判断の背景には、株価に割安感がないことがある。日経平均採用銘柄のEPS(1株当たり利益)は1160円程度である。これを基にした9日の終値から算出されるPERは14.3倍程度であろう。世界的には、PERの適正水準を15倍と見るのが常識的であることから、この数値だけを見れば、やや割安に見えないこともない。

しかし、円高基調にあることや業績下方修正リスクがあること、さらに来期まで見通せば、増益はほぼ不可能に近い状況にあることから、現在の株価水準はなお割高である。EPSが1100円まで低下し、PERが14倍の水準まで売られた場合には、日経平均株価は1万5400円まで下げることになる。PER13倍にまで売り込まれ、ややオーバーシュート的な動きになった場合には、1万4300円程度までの下落もありうるだろう。ただし、現状では高値で買いついている投資家がかなり少なくなっていることから、急落は避けられるかもしれない。しかし、一方でドル円が急速に円高方向に進めば、その限りではない。

日本株に先んじて上昇してきた米国株も今後は上値が重くなりそうである。3月の米国株は比較的堅調に推移しやすい傾向にある。ダウ平均とS&P500の3月の上昇確率は65%、ナスダック総合指数は62%である。平均騰落率はそれぞれ1.1%上昇、1.2%上昇、0.8%上昇と安定している。米大統領選挙の年に限っていえば、それぞれ0.8%上昇、0.8%上昇、1.6%下落となる。

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