112円台を円高と騒ぐようでは株価を見誤る

円高に弱い経済構造はいまだ変わっていない

金利低下によって金(ゴールド)の保有コストが低下していることにも注目(写真:freeangle/PIXTA)

日本株の戻りが依然として鈍い。上昇が2日しか続かないというのが、今年の日本株の弱さを象徴しているようにみえる。テクニカル指標は割安感を示しているが、市場の反応は限定的である。これらの動きを見る限り、本欄で指摘し続けているように、今年はかなり厳しい展開を想定しておいたほうがよさそうだ。

とにかく弱い。騰落レシオが常に低位で推移し、カラ売り比率もおおむね40%前後で高止まりしている。それでも上昇しないのは、割安感を背景とした押し目買いや踏み上げを懸念するカラ売り筋の買い戻しが入らないからに他ならない。これらは、株式市場の本質を理解している投資家が、今すぐに慌てて動く必要性を感じていないからであろう。

今のドル円は円高でもなんでもない

外国人投資家は昨年6月から売り越しの攻勢を強め、2016年1月も含めると、現物と先物を併せてすでに4兆円を売り越している。まだ売りの攻勢を明確には弱めておらず、むしろ先物市場でさらに攻勢をかけてくる可能性がある。今回の日経平均株価の戻りは25日移動平均線に遥か及ばず、1万6500円にさえも届かなかった。まだ戻す可能性はあるが、状況はかなり深刻であるといってよいだろう。

日本株の上値を抑えている原因は、円高とみてよいだろう。市場では「行き過ぎた円高だ」との声もある。筆者も読者の理解のしやすさを目的に円高という言葉を使用しているが、実はいまのドル円の水準は円高でもなんでもない。むしろ「適正水準」である。これは、日米実質金利差を用いて計算すれば、容易に理解できる。

以前にも本欄で解説したとおり、ドル円の適正水準は112~113円である。今の為替水準こそが、まさに「フェアバリュー」である。112円台を円高と騒いでいるようでは、株価の方向性を正しく見ることはできない。

日米実質金利差を見ると、アベノミクス相場が始まる2012年12月以前のドル円の水準がいかに円高過ぎたかがわかる。当時のドル円は80円台半ばだったが、適正水準は100円だった。つまり、不当に円高に振れていたことになる。これを黒田日銀と政府がタッグを組んで、力技で円安・株高は持ち上げられたのである。

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