今回の戻り局面は持ち株を処分する好機だ 株価の大幅上昇は乱高下の一部に過ぎない
2日の日本株は大幅上昇となった。日経平均株価は前日比661円もの上昇となり、節目の1万6500円を上抜いた。しかし、非常に振れ幅の大きい動きになっており、この日の上昇を手放しで喜んでばかりもいられない。このような極端な値動きは下落基調の中でよく見られる現象である。買い手不在の中では、持続的な上昇には限界があろう。
自社株買いは本質的な買いではない
2日の株式市場は、一日にしてこれまでの状況が一変したかのような発言が数多く聞かれた一日だった。株式市場関係者や投資家これまでもやもやしていた気持ちが、一気に晴れるような、そんな一日だったのではないだろうか。それもそうであろう。これまで日本の株式市場で聞かれたのは、「なぜ株価が下げるのかがわからない」、「日本株は異常に割安である」、「米国株の堅調に対して、日本株の下げは異常」、「仕掛け的な売りが入っている」などであった。
確かに、ある一面から見れば、そのように取ることが出来る部分もある。しかし、日本株の最大の買い手である外国人投資家が売っているのだから、上値が重くなるのも仕方がない。買い手は事業法人による自社株買いだけという始末であり、それではなかなか株価は上昇しない。自社株買いなどは本質的な買いではない。企業から見れば割安なのだろうが、そのような見方は独善的なものであり、市場の評価とは別の価値観であろう。
もちろん、これらの自社株買いの最大の目的は株価下支えである。株式を市場から買い上げれば、一時的に一株当たり利益は上昇するだろう。しかし、自身が最も理解している将来の収益悪化の可能性にもかかわらず、自社株買いを進めているとすれば、それは大きな問題だ。企業それぞれの事情で今後の業績は大きく異なるのだろうが、円高の影響で大手輸出企業を中心に業績悪化は不可避の情勢である。その結果、株価の修正も必然的に起きるだろう。
それにしても、株価の変動は大きいままである。これは何も日本に限ったことではない。実は米国株式市場でもかなり極端な動きになっていることが確認できる。S&P500の上昇・下落の銘柄数の動きを見ると、400銘柄が上昇あるいは下落となることは、90年代にはほとんどなかった。しかし、最近は上昇すれば大方の銘柄がやはり上昇し、下落すればやはり大方の銘柄が下落するといった、極端な値動きが見られるようになっている。
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