信託銀行「過去最大の日本株買い越し」の意味 産油国マネーの換金売りはいつ和らぐか
前回(2月17日)、昨夏の高値のしこりがほぐれているなか、日経平均株価の1万5400円以下は売られ過ぎと述べた。急速に進行していた円高が一服するなか、足元では1万6000円前後で下値を固めつつある。原油市場ではいったんの底入れを示唆する動きもうかがえる。また、年金基金の売買を反映する信託銀行が大きく買い越している。
現在、日本株に2つのパターンがみられる。まず、2015年3月以降「原油が先行して下げ止まり、1~2カ月後に日本株が戻りを強める」という動き。次に、2015年12月以降の日本株は「月前半に海外勢の売り、月半ばに安値、月後半に戻り」という傾向だ。そこでテクニカル面からみたポイントをまとめてみた。
原油価格はいったん底入れを示唆
日本株を売っている――。
世界全体の政府系ファンド(SWF)の資産規模は約7兆ドル(約790兆円)、うち産油国のSWFは3兆ドル超(約340兆円)といわれている。長引く原油安のあおりを受け、オイルマネーは日本株を含む金融資産の売却を進め、財政悪化を穴埋めしている。
2月中旬にサウジアラビア、カタール、ベネズエラ、ロシアの石油相が非公式会合で増産凍結を合意した。一方、米エネルギー情報局(EIA)は原油在庫の増加を公表したものの、WTI原油先物は1バレル=26ドル台から33ドル台まで下値を切り上げつつある。
テクニカル面からみると、2016年1~2月のWTI原油先物は26ドル台を安値として2回下げ渋っている。ネックライン(需給の分水嶺)といわれる1月戻り高値33.62ドルを終値で上回ると、ダブルボトムが完成する。2月29日のWTI原油先物は33.75ドル。わずかながらも同ラインを上回り、いったんの底入れを示唆している。仮に、原油価格は売り方の買戻し等から下げ相場が一巡感すれば、産油国マネーによる金融資産の換金売りも和らぐだろう。
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