金融政策期待の投資行動には「意味がない」 今こそ投資対象の資産を広げることが必要
またS&P500は3月の当初4日間で3.5%も上昇したが、過去の3月の当初4日間の上昇率としては歴代4番目の高さである。しかし、このようなケースでは、月末までに下落しており、その確率は実に71.4%、下落率にして1.17%に及ぶ。過去のデータ通りにいけば、月末までの米国株は伸び悩み、若干の下落で終わる可能性が高いことになる。
月末まで主要中央銀行による金融政策の決定会合が続く。特に10日のECB理事会に市場は注目しており、依然として「ドラギマジック」に期待する声が多く聞かれる。しかし、これまでのECBや日銀が採用してきた政策とその結果を見る限り、金融政策に出来ることはほとんどないように感じられる。それとも、今は金融危機ではないので最後の一手をまだ見せていないだけなのだろうか。いずれにしても、彼らの政策に期待して投資行動を起こすことは、過去の例を見るまでもなく、ほとんど意味がない。実際の政策内容とそれに対する市場の反応を見てからでも遅くはない。
日本では、政策期待が高まっている。3月末の株価押し上げが不可欠との考えから、市場が驚くような政策が打ち出されるとの期待があるからだ。確かに現在の株価水準では厳しいが、債券ポジションはマイナス金利による価格上昇で利益が出ており、機関投資家などの全体のポートフォリオはそれほど痛んでいないとの指摘もある。いずれにしても、3月末まで気が抜けない日々が続くことになる。
金堅調、銅やプラチナに底離れの動き
また、市場が原油相場の動向を気にしているうちは、本格的な戻りは期待できない。原油相場が下落すれば心理的に株価は売られ、上昇しても将来の企業業績の圧迫要因になるため、結局は原油相場の値動きは株価の売り材料でしかないだろう。WTI原油は40ドル目前で打たれているが、筆者はこの水準を超えるまでは、本格的な戻り基調に入ったとは考えないことにしている。過去の値動きを見れば、この40ドルがきわめて重要な水準であることは一目瞭然である。
一方、金相場が引き続き堅調を保っている。米国の実質金利や日欧のマイナス金利などから、現在の水準はなお割安だ。株安への警戒による投資家の安全資産としての金買いの動きが顕著で、産業用金属である銅などの非鉄やプラチナなども明確に底放れの動きに入っている。
これまで繰り返し解説したように、今後4年間はコモディティのパフォーマンスが株式に対して相対的に上回る時代に入ると考えている。株式投資に固執していれば、絶好の投資機会を見失うことになるだろう。いまこそ、マクロ的な見地で市場を俯瞰し、投資対象とする市場や資産を広げることが不可欠だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら