世界で最も独立性の高い中央銀行はどこか 意思決定の形式や公開度合いは千差万別

✎ 1〜 ✎ 147 ✎ 148 ✎ 149 ✎ 最新
拡大
縮小
中央銀行の独立性の度合いは各国によって異なる(写真:Yoshi / PIXTA)

経済学者のアレシナとサマーズは1993年、中央銀行の独立性は経済に悪影響を与えることなく、インフレに歯止めをかけると主張する論文を発表した。それ以来、世界中の国々が自国の中銀に独立性を与えてきた。

しかし、実際にはさまざまな程度の独立性があり、すべての中銀が同じ形で運営されるわけではない。欧州中銀(ECB)のように自らターゲットを設定する金融当局もあれば、イングランド銀行(英中銀、BOE)のように手段の完全な独立性──短期金利に対するコントロール──を持つが、政府設定のインフレターゲットを達成しなければならない場合もある。

目標達成のために、いかに中銀が組織されているかについても違いがある。ニュージーランドでは、中銀総裁は単独意思決定者だ。米連邦準備制度理事会(FRB)では、米連邦公開市場委員会(FOMC)によって決定がなされる。

 密室性の高い欧州中銀

ECBは理事会の投票記録を公表せず、コンセンサスに至ることを目指す。対照的にBOEの金融政策委員会(MPC)は9人のメンバーから成り、そのうち4人はBOEの外部から任命され、すべての投票は個別に記録される。FRBは投票記録を残さないが、重要な決定に対する反対意見は記録される。

また、金融政策決定者とスタッフの関係にも違いがあり、中銀の独立性に影響を及ぼす。FRBのスタッフは、金利を設定する政策決定者からのインプットなしでFOMCに経済予測を提出する。

次ページ浅慮を招く恐れも
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT