経済学者のアレシナとサマーズは1993年、中央銀行の独立性は経済に悪影響を与えることなく、インフレに歯止めをかけると主張する論文を発表した。それ以来、世界中の国々が自国の中銀に独立性を与えてきた。
しかし、実際にはさまざまな程度の独立性があり、すべての中銀が同じ形で運営されるわけではない。欧州中銀(ECB)のように自らターゲットを設定する金融当局もあれば、イングランド銀行(英中銀、BOE)のように手段の完全な独立性──短期金利に対するコントロール──を持つが、政府設定のインフレターゲットを達成しなければならない場合もある。
目標達成のために、いかに中銀が組織されているかについても違いがある。ニュージーランドでは、中銀総裁は単独意思決定者だ。米連邦準備制度理事会(FRB)では、米連邦公開市場委員会(FOMC)によって決定がなされる。
密室性の高い欧州中銀
ECBは理事会の投票記録を公表せず、コンセンサスに至ることを目指す。対照的にBOEの金融政策委員会(MPC)は9人のメンバーから成り、そのうち4人はBOEの外部から任命され、すべての投票は個別に記録される。FRBは投票記録を残さないが、重要な決定に対する反対意見は記録される。
また、金融政策決定者とスタッフの関係にも違いがあり、中銀の独立性に影響を及ぼす。FRBのスタッフは、金利を設定する政策決定者からのインプットなしでFOMCに経済予測を提出する。
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