少し間が空いてしまいましたが、前回は大相撲で大活躍中の琴奨菊関の感情コントロール法を取り上げ、私たち自身も簡単にあきらめないために、どのような思考が有効かを考えました。
さて今回は、大阪市立の中学校校長(61歳)が、全校集会で「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと」などと発言したことを考えてみたいと思います。目下、報道番組やネット上で「女性蔑視」と批判されていますが、こういった問題発言を防ぐ手立てを、アンガーマネジメント的に検討してみましょう。
理想と現実のギャップが生じさせる「怒り」
「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと」「仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」。全校生徒に向けられた校長の発言は、今月初め、市教育委員会への匿名の電話で発覚しました。教育委員会はこれらを「不適切な発言」として、なんらかの処分を検討しているそうです。
これに対し、校長は「生徒や保護者から直接おかしいという声は届いていない。私の発言で傷ついた生徒がいたなら真意をきちんと説明する」と述べました。また、「子育て後、大学で学び専門職に就けばいい」とも発言、これについては「出産や子育て後も学び直しはできる。女性がキャリアアップで不利にならないようにすべきだ」と話したそうです。
ここにも登場しました、この連載で繰り返し取り上げている「べき論」。理想を実現しなければならないと強く主張する論調のことです。
私たちは、さまざまな「べき論」を持っています。例えば、会社はこうあるべき、子ども(親)はこうあるべき、部下(上司)はこうあるべき、女(男)はこうあるべき、サービスはこうあるべき、教育はこうあるべき、話し方はこうあるべき……など、挙げたらキリがありません。
こうした「べき論」と、目の前で起きている事実・現実との間にギャップがあると、怒りの感情となって表れる。これまでもそう説明してきました。
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