「盛れてる」と「盛りすぎ」には境界線がある 「シンデレラ・テクノロジー」とは何か

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シンデレラ・テクノロジー研究者の久保友香さん
東京大学大学院の情報理工学系研究科に特任研究員として在籍する久保友香。日本で描かれ続けてきた美人画を時代ごとに分析し、数値化することで傾向を把握するなど、「尺度の曖昧な日本文化をいかに数値化するか」に情熱を注いできた。
その彼女が、現在研究テーマに掲げているのが「シンデレラ・テクノロジー」。現代のギャルたちがどのような外見を求め、「盛れてる(=外見をうまく加工できている)」を目指すのか。バーチャルとリアルなアイデンティティへの思索が、その背景には隠されていた。

「算数をやっている時間が一番平和」

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

小学生の頃から「算数をやっている時間が一番平和」だと感じていたほどに、久保友香はずっと数学が好きだった。高校卒業後の理系への進学を考えたときに、数学をより社会に活かせる分野として、機械工学を専攻することに決めた。

「温暖化問題が話題になったり、温室効果ガスの削減のための国際会議が京都で行われていたり、環境問題が注目されている時期だったこともあり、卒業論文で私は森林をテーマに研究を行いました。森林は木材を供給するエネルギー資源としても考えられるし、CO2を固定する環境資源でもあるので、エネルギー資源として使うことと環境資源として残すこととがどのようなバランスに保たれるのが最適なのか、そのようなことを分析しました」

同時に、森林は日本人にとって神が宿る場所でもあり、文化的な意味合いも強い。久保はその部分にも惹かれたが、工学の領域に文化論を介入させるとブレてしまうため、卒業論文に盛り込むことは断念した。しかしながら、「曖昧なものに物差しを当てて計りたい」という欲求を持ち続け、その実現を目指した。

「侘び寂び」「禅」などは曖昧さに裏付けられた日本文化であり、だからこその魅力がある。幼い頃にいつも遊んでいた曾祖母の影響で、和服や季節感に興味があったり、父の影響で、久保自身が歌舞伎からヤクザ映画まで日本の芸能が好きだったこともある。日本の伝統文化の特徴をどうやって技術的に再現できるか、そこにこだわった。

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