20代女子が夢中!「婚活リップ」ブームの裏側 仕掛けたロレアル、顧客年齢は4歳若返り
バレンタインデーを控えた2月の休日。混雑した新宿伊勢丹本店の化粧品売り場に、とりわけ若い女性の人いきれで活況を呈する一角があった。「イヴ・サンローラン・ボーテ」のカウンターだ。
皆がこぞって買い求めているのは、口紅の「ルージュ・ヴォリュプテ・シャイン」。”婚活リップ”の名で知られ、1本4100円と口紅として高価格帯ながら、今、20代を中心に10代からも熱い支持を集めている。一番人気であるコーラルピンク色の「15番」は店頭で品薄状態が続いているという。
ベストコスメアワードで大賞を受賞
2013年の発売当初から評判は高かったが、人気に火がついたのは2015年に入ってから。化粧品口コミサイト「アットコスメ」主催によるベストコスメアワードで、2015年の総合大賞を受賞した。
評価のポイントは「発色や美容効果など、機能性が高いことに加え、高級感のある金色の容器がSNSで見栄えすること」(アットコスメを運営するアイスタイルの篠原祐子氏)。化粧品の購入先としてドラッグストアが4分の1以上を占める今(富士経済調べ)、5%に満たない百貨店の商品が大賞を取るのは、実に4年ぶりのことだ。
同ブランドを展開するのは、世界一の化粧品企業である仏ロレアルの日本法人、日本ロレアル(東京・新宿)。イヴ・サンローランの口紅と言えば、バブル期に青みがかったピンク色の19番が一世を風靡したことで有名だ。ただ、当時からの根強いリピーターは今や40代以上となり、若い世代の取り込みが課題となっていた。
その再生を請け負ったのがロレアルだった。2008年、仏小売大手のPPR(現ケリング)から同ブランドを11億5000万ユーロ(当時の為替レートで約1770億円)で買収した同社。ジャン・ポール・アゴンCEOは、「フランスの老舗ブランドとして強力なアイデンティティを有する同ブランドを傘下に入れることで、ラグジュアリー化粧品市場での地位をより強固なものにした」と買収の意図を語る。
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