20代女子が夢中!「婚活リップ」ブームの裏側 仕掛けたロレアル、顧客年齢は4歳若返り

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同社の歴史はブランド買収と再生の歴史と言っても過言ではない。現在保有する32の国際ブランドのうち、「ロレアル」を冠するのは実は2つだけ。それ以外はM&Aにより獲得したものだ。買収の基準は規模ありきではない。ブランドの個性が際立っていれば、たとえ小さくても積極的に買収する。

買収したブランドの成長に威力を発揮するのが、ロレアルが最大の強みとしている研究開発体制だ。同社の2014年度の研究開発費は約1018億円と資生堂の同142億円を圧倒。売上高に占める比率も資生堂の1.8%に対し、ロレアルは3.4%と高い。豊富な資金力を活用しつつ、ロレアルの色を出さずに買収ブランドを磨き直す。

2000年には米調剤薬局発の「キールズ」、2006年には、自然派化粧品の「ザ・ボディーショップ」、2014年には、資生堂からスキンケアブランドなど2つを買収し、順調に育成。その結果、全体の業績は6期連続で増収増益を達成している。

日本の顧客年齢は4歳も若返り

ファッションブランド発という特徴を生かし、伊勢丹新宿店の洋服売り場の横にもカウンターを作った(撮影:今井康一)

その中でも、イヴ・サンローランの買収は最大級の成功例といえる。ロレアルは、約2年かけて研究開発や生産まで同社に移管し、それまで手薄だった基礎化粧品を強化した。展開する国や地域の特性に応じて商品の配合や販売戦略を変えていくという「ユニバーサリーゼーション」戦略に基づき、日本向けのスキンケア商品は国内の研究開発拠点で日本人の肌に合わせた配合にするなど、現地化も進めた。

2014年初頭からはブランドイメージを若者向けに先鋭化させ、デジタルマーケティングにも積極的に取り組んだ。これにより見事ブランドの若返りと業績の立て直しを果たしたのだ。

中でも調子が良いのは日本事業だ。ブランドが日本へ導入されたのは2009年だが、2013年に発売された口紅のヒットにより、直近3年間で売り上げは倍増。顧客年齢は1年間で4歳も若返った。

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