20代女子が夢中!「婚活リップ」ブームの裏側 仕掛けたロレアル、顧客年齢は4歳若返り

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口紅ブーム創出の背景には、日本ロレアルが独自に行った販売戦略がある。まず、「恋に効く口紅」という世界観を作り出したことだ。この口紅には、一本ごとに「プロポーズさせるミルキーコーラル」、「復活愛へのストロベリーピンク」といった恋愛にまつわるキャッチコピーが付いていており、それが話題を呼んだ。男性からのプレゼント需要も開拓することができた。

さらに、SNSの活用も効果的だった。他社に先行して2012年に専門部署を置き、発信力のあるモデルやブロガーをイベントに招待。その様子を自らの言葉で発信してもらうことで、口コミを重視して消費を行う若い世代を取り込むことに成功したのである。

日本の成功例はアジアで横展開

ジャン・ポール・アゴンCEOは、展開する130の国ごとに成分や販売方法を変える「ユニバーサリーゼーション」戦略を武器に、拡大路線を突き進む

日本の好調は、仏本社も目を見張るほど。生産予想を遥かに上回る需要があり、フランスの工場はラインを増やして口紅の増産をしている。「口紅人気を一過性のブームで終わらせず、(より単価の高い)ファンデーションや基礎化粧品の購入へと誘導していきたい」(栗林水都事業部長)と意気込む。現在は、店頭の混雑を解消して一人一人へのカウンセリングを強化すべく、店舗の拡大や美容部員の増員を進めているところだ。

アゴンCEOは、「アイディアや技術力、創造力の源である日本は、グループにとって戦略的に重要な創造拠点」と、日本事業の位置付けを語る。イヴ・サンローランが日本で培った販売戦略は、いずれ台湾や中国といったアジア諸国での展開に応用していく予定だ。

日本の化粧品市場は、年に数%程度の成長しか見込めず、競争環境も激しい難しい市場。だが、今回のイヴ・サンローランブームによって、販売手法の工夫次第ではまだ成長の余地があることを証明したといえよう。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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