中野:なりすましとか。他人が自分のマイナンバーをかたって、口座からお金を引き出しちゃうとか?
渋澤:そんなことできないでしょう。だって、マイナンバーだけ言ったとしても、金融機関は口座番号とパスワードを通知しないかぎり、現金を移動できないですよね。そのワイドショーネタは、コトをあおることよって視聴率アップを狙っているだけじゃないですか。でも、そんなこんなでいろいろな誤解が生じて、おカネがタンス預金に回っているとしたら、それも問題ですね。
藤野:マイナンバーが不安だから口座を作らない。預金してもどうせマイナス金利だから金融機関に預けない。結果的にタンス預金にお金が回る。どうやら日本の金融市場は、2つのマイにやられてしまったようですね。
世の中で使われるおカネは減っていく
中野:マイナス金利とマイナンバーで参った。
渋澤:確かにタンス預金は増えているようです。日銀券発行残高の推移を見ると、昨年10月くらいから前年比で6%台に乗っているんですよ。ちなみに昨年3月くらいまでは3%台だったのですが、明らかに増加傾向をたどっています。日銀券発行残高が増えるということは、企業や家計が預金からお金を引き出しているのとイコールですから、まさしく家計についてはタンス預金が増えている。
中野:現ナマを抱えるのがブームになっちゃっているのですね。
渋澤:3つめのマイですよ。「埋蔵金」。
中野:でも、そうなると現金はツボの中だから、いくらマネーストックの数字が増えたとしても、世の中で使われるおカネはどんどん減りますね。数字には表れない形で、マネーストックが消失するという現象が起こるのではないでしょうか。それだと、いつまで経ってもインフレにはなりませんよね。
藤野:金庫の出荷台数が、前年に比べて倍増していますね。マイナンバーは税金の未払い防止、適正な年金支給のために行われているものなので、金融機関の口座については当面、対象外ですが、将来の適用を懸念している人たちは、タンス預金に向かう。加えてマイナス金利ですから、ますますタンス預金にしてしまうという流れです。
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