渋澤:そうですね。米国はアルバイトを始めたら即、社会保障番号を獲得しますからね。僕は14歳からアルバイトをしていたのですが、その時代の収入の記録と共に年金給付の予定額が、数年ごとに今も米国から送られてきますよ。当たり前に根付いています。
中野:マイナンバーは、グローバルスタンダードで考えれば、おかしい話ではありません。ただ、日本がおかしいのは、マイナンバーを漏えいした時の罰則規定を、極めて厳しいものにしたからですよ。住所を漏えいしてしまった時に比べて格段に罰が重くなっています。マイナンバーと電話番号は同じようなものなのに、なぜかマイナンバーだけ、厳しい罰則規定が設けられたから、多くの人は「これはとんでもない制度が出来てしまった」と大げさに受け止めたのではないでしょうか。
藤野:番号管理にもコストがかかるしね。
本来の狙いとは裏腹に矛盾が噴出
中野:本来、行政がやるべきことを民間に押し付けて、民間はコスト負担にあえいでいるというのが、マイナンバーの実体です。
渋澤:いろいろな矛盾が生じていますよね。たとえばマイナス金利にしても、おカネを世の中に循環させましょうという、強烈なメッセージであるはずなのに、一方、マイナンバーが導入されたことで、逆に個人マネーはツボに入れて土の中に埋められつつあります。しかもマイナス金利で銀行側は貸し出しを増やせと言われていますが、そもそも需要がないのに貸出を勝手に増やすことなどできません。
確かにJ-REITや外債、株式などの有価証券投資は、銀行側の意志で勝手に進められますが、それをやろうとすると、今度は「リスクアセットをそんなに積み上げるのはけしからん」と言われる。本当に、いろいろな矛盾が生じています。
中野:おカネが動くようになるには、もう新円に切り替えるしかないでしょうね。ただ、インフレが止まらなくなるおそれがあります。
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