(第19回)<泉麻人さん・後編>放課後を楽しんだ

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●時代の変化が先生と生徒の関係も変える

 最近は、学校で講演をすることがあります。校長先生が僕より年下になっていたり(笑)。子どもは、どこも小学生ぐらいまではみんな素直に話を聴いています。しかし高校生くらいになると聴いていない。でも、これは自分を振り返ってみても同じで、興味がある話だったとしてもあの頃はそういう態度になるものですからね。たとえば、そんなときに、その場の空気を乱してまで雷を落として怒るような先生は、今はいないんじゃないかということを感じます。
 僕の担任だった伴先生のような先生は、もしかしたら今の時代にはもういないのではないか、と。先生が低姿勢になっているように感じます。場所によっても違うでしょうが、全般的に、先生=生徒=友達みたいな関係がいいと思っているような雰囲気があります。僕らの頃は先生と生徒というと、あの独特な緊迫感というか、先生が上の方にいるという感じで、それが今はないようです。
 僕らの頃も、高校生くらいになると、遊びに行く場所の話を一緒にするような軟派な先生はいたけど、今はそっちが主流になっているような気がします。近寄りがたいけど、打ち解けると親身になってくれるといったタイプの人は居心地が悪いのかもしれない。  だからやっぱり先生は大変だと思います。

●先生にはなりたくない!?

僕が先生にですか? なりたいとは思わないです。実はうちのオヤジは高校の数学教師だったんですけどね。  時代の流れというのもあるけど、自分はとても伴先生のようにはなれない。生徒の価値観をよく理解するというより、なれ合い型になっちゃうかな。  もうひとつ、あの頃とは違い、今は塾が大きな存在になっている。だから、進学塾では、先生も一種のタレントとして、自分のキャラクターとして「スパルタ」を演じたりということが、おそらくやりやすいんだろうと思います。しかし、行政の教育機関に入った時にそういう飛び抜けたキャラクターを演じるのは難しい環境なんじゃないかと思うのです。もしかしたら今は、ユニークな先生というのは進学塾の方にいるんじゃないかと。だから、進学塾の先生に影響を受けてもよいのではないかと思います。
(取材:田畑則子 撮影:戸澤裕司 取材協力:中川美穂)

泉麻人<いずみ・あさと>
1956年東京都生まれ。
慶應大学商学部卒業後、東京ニュース通信社に入社。「週刊テレビガイド」等の編集に携わる。
その後、フリーのコラムニストに転身。各種雑誌への連載をするほか、「テレビ探偵団」(TBS)や「出没!アド街ック天国」(テレビ東京)などに出演する。
著書に、『東京版アーカイブス』『青春の東京地図』『お天気おじさんへの道』『通勤快毒』など多数。
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