整備工場のほうにも目を向けてみます。現状、整備士の世界は「体力・筋力勝負」で「女性エンジニアはゼロ」というディーラーが多い中、青森ダイハツモータースの女性エンジニアは5人。全体の約6%と、決して低くない水準を長くキープしています。
なぜ、女性エンジニアの採用に成功し、定着、活躍を進めることができたのか。その秘訣を探ると、「働きやすい整備工場」を目指して実施された、細かな心配りの積み上げが見えてきます。
最初に、整備工場内に女性専用のトイレを創りました。工場など従来女性が少ない職場においては、女性専用トイレがない現場はまだまだ多いものなのです。身体が冷えやすい女性社員のことを考え、工場内には暖房も設置しました。さらに、女性でも作業しやすいオイル交換設備を導入、車体の下に潜らなくてよくなったため、作業者が油まみれになることを防げるうえ、工場内もクリーンに保てるようになりました。
少しでも「男性偏重」が残っていれば、すぐにバレる
また、軽自動車の整備にはあまり用いられない「タイヤリフター」という機材も追加。これは女性エンジニアのみならず、元々腰痛に悩まされていた高齢社員をも好評だったそうです。
工具についても、「汚れても壊れてもそのまま使え」から「壊れたらすぐに取り換えよう」という方針に180度転換。おかげで工場内はいつもピカピカ、誰にとっても気持ちのいい状態が保たれています。
今年の4月、同社の女性エンジニアはさらに2人増え、7人になる見込みです。男性色が強い世界で女性が活躍することで、よりいっそう女性顧客の気持ちに寄り添い、キメ細かいサービスができるようになるはずです。
「顧客からも、社内からも、『変わった』という声が多くきかれるようになった」(松沼社長)だけでなく、同社はダイハツ全販売会社60社の中で、最も顧客満足の高い会社・第2位(2015年度)表彰されました。厚生労働省が実施する「均等・両立推進企業表彰(均等推進企業部門)2015年度においても「青森労働局長奨励賞」に輝いています。
「女性活躍に取り組むなら『覚悟』を決めなくてはなりません。女性は敏感です。やっぱり男性の方が……なんてことを少しでも思っていると、すぐにバレます。自分ひとりではできませんが、心から社員の意見に耳を傾け、社員同士の心が通じ合う環境を整える。こちらも真正面からぶつかっていくと、社員もだんだんと歩み寄ってくれるのです」(松沼社長)
(構成:坪田塁)
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