松沼社長は「教育」にも投資を惜しみません。東京で行われる公開型研修には、スキルと経験を考慮して選考した女性社員を積極的に送り込みます。「青森県だけしか知らない」という社員も多い中、東京での「他流試合」に参加することで大きな気づきを得て、仕事にも生かす社員が増えてきているそうです。
もうひとつユニークなのが「幼稚園研修」です。新入社員は参加必須のこの研修、1週間ほど地元の幼稚園に出向き、給食を一緒に食べたり、着替えを手伝ったりするそう。いったい、どういった狙いがあるのでしょう?
「子どもが楽しく過ごせないショールームでは、車は売れません。だから、お子様と遊ぶことを知らない若手社員には、必ずその体験をしてほしい。周りへの気遣い、思いやりがお客様満足にも繋がるに違いない。そう信じています」(松沼社長)
100時間残業が当然の業界に「どんどん休む風土」を
こちらは顧客視点の施策ですが、店舗に「納車ルーム」を設置するという大胆な投資も実施しました。鏡に囲まれた納車ルームで、お客様に新車に乗ってもらい、自分が運転している姿を誰よりも早く見てもらうという試みです。新しい車そのものを見ることはあっても、実際に乗っている自分を見ることはなかなかありません。その体験ができるとあって、「この車を買ってよかった」という感動を生み出しているそうです。
力を入れるのは「投資」ばかりではありません。松沼社長は休暇制度の充実も図りました。本来、同社の販売店は火曜日定休ですが、どの社員も月1回は土日に休暇を取得できるようにし、上司が率先して取得することで部下も休みやすい環境づくりを進めています。
「私は3人の子どもがいるので、日曜日に休みを堂々と取得できるのはありがたいですね。家族との時間も大切に持てています」(女性営業・神山さん)と、これには社員の評判も上々です。
また、残業時間は1カ月20時間以内、毎日遅くとも20時には終業するというのも大きなポイントです。営業の管理職クラスには月100時間以上の残業が常態化している現場も少なくない中、休暇の取りやすさと長時間労働の削減は、女性、男性双方にとって働きやすい会社の必須条件です。
職場環境の整備にも手を抜きません。まず、全社員に個人ロッカーを提供しました。これまではお弁当やお財布など、私物が散乱していたデスクの上を整理整頓できるようにし、店舗によっては営業社員はフリーアドレスにして店長・社員同士のコミュニケーションが図れるようになりました。
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