見事!花王「メリット」の新製品戦略《それゆけ!カナモリさん》

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 また、女児の髪型を巡る環境の変化も見逃さなかった。記事は、その昔、女児といえばおかっぱアタマが定番だった。現在はセミロングが増え、2010年には5割を超す可能性があると指摘している。

もちろん、キモである母親も使える仕様になっている。親子で使えば使用量は2倍だ。

しかし、親子で使う、細い子供の頭髪にも合ったトリートメントなど、競合他社からも発売することができるので、そんなブルーオーシャンはいつまでも続かない。値引き合戦のレッドオーシャンの戦いにすぐなるのではないか、との考えもあるかもしれない。

筆者は、しばらくはメリットの牙城になると考えている。メリットというブランドが築きあげてきたポジショニングと、支持層であるターゲットがしっかりしているからだ。

■「家族のブランド」を活かす

 シャンプーから始まったメリットの歴史は古く、1970年の登場だ。筆者が今でも覚えているCMキャラクターは女優田中祐子。「結婚式編」では、花嫁である友人に「フケ・かゆみをおさえてお幸せに」とスピーチする。

ターゲットは若い女性であり、「フケ・かゆみをおさえられる」という極めてストレートなポジショニングを示している。しかし、40年近くが経った今日、フケ・かゆみに悩む若い女性はほとんどいない。メリットのターゲットとポジショニングも大きく変化した。

Wikipediaの「メリット (シャンプー)」の記述が分かりやすい。

保阪尚輝・高岡早紀夫婦(当時)起用以降は、「新・家族シャンプー 弱酸性のメリット」とCMで宣伝される。近年は、高級化・個別化が進むヘアケア市場の中で普及品である本製品は、従来からのフケ・かゆみを防ぐ機能に加え、家族や親子での使用シーンを広告などで前面に出して、ブランドの再構築を図っている。

CMキャラクターも、仲村トオル・鷲尾いさ子夫妻、藤井隆・乙葉夫妻と、これでもかの家族シリーズでポジショニングを明確にしている。

 

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