■5月25日 サッサッとお茶漬け、コツコツ拡大:永谷園
「サッサッ」という音。お茶漬け海苔を振りかける、永谷園のサウンドロゴである。その軽妙な音とは裏腹に、同社の戦略からは「コツコツ」という地道な音が聞こえる感じがする。
2009年5月22日付け日経MJ に、「お茶漬け・チャーハンのもと 新たな食べ方提案 永谷園CMで」との小さな記事が掲載された。
主力商品のお茶漬けや、チャーハンのもとの新しい食べ方を提案するといい、6月に始めるテレビCMなどで紹介するとのことだ。具体的にはお茶漬けでは豆腐を使った「冷ややっこ茶づけ」など、チャーハンのもとではギョーザの具として使うアレンジレシピであるという。
単なる食品メーカーにありがちな「レシピ提案」といってしまえばそれまで。確かに地味なのだが、同社の展開は、実に時流をうまく捕らえていると思う。
同社の製品売上げは、不景気によって進む内食化で好況だと先だって報道されていた。「弁当男子」という言葉が流行るなど、内食化が明確になりつつあるのだ。さて。あなたが永谷園のマーケティング担当者だったらこの環境をどう利用するか。
上記レシピ提案は、既に同社Webサイトでは紹介が始まっている。とりわけ「冷ややっこ茶づけ」なるものがどんなものなのか、興味があって見てみた。
おっと!ちょっとアンビリーバボーな印象が否めない。ご飯の上に豆腐が鎮座ましまして、お茶漬け海苔にご飯が浸っている。確かに、副菜として冷ややっこの小鉢が食卓に並んでご飯と一緒に食べたり、豆腐のみそ汁と一緒にご飯を食べたりはするが、ご飯と豆腐は交ぜないのは筆者だけだろうか。
とはいえ、考えてみれば、提案されているのは冷たい水で食べる、冷やし茶漬けである。ちょうど自宅にあったお茶漬けの素と豆腐で試してみた。蒸し暑い土曜の昼下がりのことだった。……うまい。何ともさっぱりとして、喉ごしがいい。
そのほかにもチャーハンの素で作る餃子、松茸の味お吸いもので作る釜玉うどんのレシピなど、使用用途を拡大するヒントが、パッケージに紹介されている。レシピ紹介はそれほど珍しいことではないとはいえ、内食化の流れを巧みに利用している点が素晴らしい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら