ポジショニングを変更することは、失敗すれば、従来の支持層を失う危険性を伴う大きな賭けである。しかし、その賭けに成功し、「家族のブランド」になったメリットだからこそ、今回の「母と娘のトリートメント」が大きな意味を持つのだ。
今まで使ったことのない女児へのトリートメント。「本当に必要なのかしら。効果があるのかしら」と考える母親。しかし、そこは「家族のメリットなら安心ね」と、購入のハードルを引き下げる。ほかのブランドにはない、安心感だ。
さらに、今回の「メリットさらさらヘアミルク」の成功はさらなる可能性を示唆している。「家族」という大きな括りではなく、「母と娘」などのように、家族構成をさらに細分化し、そのつながりに対応した商品シリーズ展開も可能となるだろう。例えば、「父親と息子のためのスッキリするシャンプー」などはどうだろう。
メリットは、過去に挑戦して得たポジショニングを活かして、顧客と市場の変化、ニーズを敏感に捉えた商品を開発、今後の展開の礎まで築いた。
あっぱれ!
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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