■昼下がりの風景
不景気でファストフードが活況だ。マクドナルドはとりわけ快走中である。その店内を昼下がりにのぞいてみると、100円メニュー、120円メニューを組み合わせて食べたり、テイクアウトしているランチ価格抑制派の姿がずいぶんと目に付く。この人々が、マクドナルドの快進撃の一翼を担っているのは間違いない。
しかし、低価格ランチ客のみではダメなのだ。もっと幅広い客層を確保し、さらに、その客がたまにではなく頻繁にきてくれるようでなくては。なぜなら、この顧客層は何もしなくても来店してくれる代わりに、客単価が低い層だから。
かつてマクドナルドは価格破壊によって「デフレ時代の勝ち組」と言われたが、その後ブランドイメージの低下と収益性の悪化で長く苦しんだ。その経験から、低単価・低収益メニューと高単価・高収益メニューのバランスを取る、マージンミックスに最も慎重になっているのだ。
■マックでDS
そんなターゲットの一つが親子連れだ。2009年6月19日に、「マックでDS」キャンペーンが始まった。マクドナルドへニンテンドーDSを持って行くと、人気ゲームキャラクターのダウンロードやスタンプラリーなど様々なサービスが無料で受けられるのだ。
継続的なプロモーションではあるが、7月17日までの第一弾の目玉は、DSのポケモンソフトを持参すれば、オリジナルキャラクターである、幻のポケモン「ジラーチ」の配信が受けられるというもの。ポケモンにはまっている子供にとっては垂涎の的だろう。
さらにスタンプラリーの設計が面白い。同社のニュースリリースによれば、Wiiウェアの新作ソフト『乱戦!ポケモンスクランブル』に登場する「ポケモンのおもちゃ」を、コレクションラリー画面で8匹集めると「チーズバーガー」、16匹集めると「ビッグマック」のクーポンをプレゼントします、という。
来店ごとにポケモンがたまるのだが、1店舗あたり1日1回しか利用できないため、マックを“はしご”する子供たちまで出てきそうだ。
DSやポケモンにはまっている子供を持つ世帯は多い。たぶん大変な騒ぎだろう。「ジラーチもらいに行こう!」「またマクドに行って、キャラクターをもらおう!」と来店頻度が高まったこと、必定ではないだろうか。
お昼ご飯を作るのがちょっと面倒なお母さんは子供に促され「まぁ、しかたないわね」と。お父さんも一緒の時は、手軽で安価なレジャーとして「じゃぁ行こうか」と子供の利害とも一致する。家族2人~3人という高頻度の来店客確保ができるわけだ。
もう一つ並行して始まった「日本バラ色計画」がまた、よく出来ている。
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