「バラ色Tシャツ、って本当にこんなの着られるの?」と大人の男性から見ればちょっと躊躇しそうなデザインだが、そこは夏を迎えるこの季節。クォーターパウンダーにノリで手を出す若い女性、特に学生の心理を突いているといっていい。
部活に、夏フェス、海に山に、花火に祭りになんやかんや。そんな楽しい夏の日々に着用すれば仲間内でウケること間違いない。さらに、シャツが欲しくて、食べまくるほどに貰えるバッチ。かばんに無数についたピンクのバッチもまた、ウケる。「なにそれ。あんた食い過ぎだよ!」というコミュニケーションも設計されているように思える。
黙っていても食べてくれる男性層は置いておいて、クォーターパウンダーにハマッてくれそうな元気な女子のハートをつかむ戦略が「バラ色」なのではないか。無論、その女子につられて一緒に食べる男子の取り込みも狙っているのは間違いないが。
■次はどう来る?
「マックでDS」を開始し、期間限定で「日本バラ色計画」を展開。これらのプロモーションには、「セグメンテーションのスキマを作らない」というマクドナルドの狙いが隠されている。そして、売上げ・利益を確保するには、客数を増し、客単価を上げ、来店頻度を高めることが基本の「き」であるが、マクドナルドのプロモーションでは、それがカッチリと整合性を持って、励行されているのである。
「マックでDS」の第1弾キャンペーンは7月17日まで。「日本バラ色計画」のバラ色Tのキャンペーンも7月16日まで。夏休み本番にはさらなるキャンペーンが用意されているのは想像に難くない。
手堅い支持層の低価格ランチ客とガッツリ食べたい男性客。それに、あしげく通ってくれる親子と、ノリでガッツリ食べてくれる女子を取り込んで、次はどこに行くのか。
夏休みに学生の利用は黙っていても増えるだろう。だとすれば、狙いは他の層。暑い夏場にちょっとあっさりヘルシーなメニューで、ガッツリ食べないお姉さん女子を狙うか、はたまた、暑さに負けるなと、ちょっと年齢の高い層に「土用のマクド」でも仕掛けるか……。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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