今後、日本経済がデフレを脱却すれば、ボリュームゾーン中心に宝飾需要は上向いていく。ライバルの少ない宝飾卸業界大手企業として、景気回復期には売上げ、利益ともにその恩恵を享受できるだろう。
宝飾卸トップの桑山はJASDAQ上場企業だ。同社も宝飾品市場が縮小する中で、売上縮小に苦しみ続けた。しかし、市場全体が縮小する環境を桑山は見事にチャンスに変えてみせた。
2000年代に入り、桑山は卸として商品供給力を戦略的に強化した。宝飾業界は12月が書き入れ時。小売店は12月の品ぞろえを充実させるために、卸会社に大量の発注をする。
しかし、売れ残った場合の対応が難しいので、多くの卸会社は小売会社の注文通りには応えない。そのギャップを桑山はチャンスと捉えた。同社は小売店の注文にそのまま応えることで競合会社との差を決定的なものに広げた。
同業他を積極的にM&A
桑山はメーカー機能も持っているので、小売店に対してきめ細かな商品供給をすることができたのだ。他社メーカーからの仕入れでは商品納入に時間がかかるし、小ロットの注文も受けてくれない。
さらに、同業他社を吸収合併することで、国内シェアが拡大。消費増税による駆け込み需要の反動が生じた2015年3月期も、売上高は371億2500万円(前期比3.6%増)と増収を達成した。
海外での製造設備増強にともなう先行コストが発生した影響もあり、営業利益は14億円と前年を若干下回ったものの、売上高は、10年前の2005年3月期と比べ58%の増加と、縮小する業界の中での「勝ち組」の地位を固めている。
2016年3月期も、前期からの設備先行費用の発生が続き、営業利益の減少が見込まれる。しかし、2017年3月期以降は海外市場での売上げ拡大と、生産効率上昇による利益率改善も合わさって、営業利益が過去最高となる見込みだ。
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