「職場だけ夫婦別姓」で妥協する、女性の心理 ずっと事実婚だった私は、こう考えてきた

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結婚して名前が変わる男性は3%しかいないのだし、人生の途中で名前が変わる、というシーンでの戸惑い、不便さを理解できる男性はまだとても少ないのかもしれません。ですから、あなたの考えを曲げる必要はありませんが、夫になる人が「なぜ旧姓で仕事するの?」と思ってしまうことについても、責めるわけにはいかないようにも思います。

「名前を変える」のが嫌なわけではない

ところで、この「夫婦別姓」議論については、やはり正直なところ夫の姓が戸籍上の名前になった今でも、ロジックでは説明できない感情が私にはあります。好きな人と家族になる「幸せ」や家族単位で認められる便利さ、仕事上の不便さや、そういったことを超えた感情です。それは、私は「堂薗稚子」という名前が好きだということです。

この名前で周囲に認識されてきたし、「堂薗」の家族として認識されてもきました。親が授けてくれた私の「記号」。生まれてからこの名前で生きてきたのです。だから、「名前を変える」というのは新しい名前がイヤだとか不便だとかいう以前に、育ててくれた家族と別れるようななんとも言えず寂しい気持ち、「どうして変えなくちゃいけないのだろう」と思ってしまう気持ちがあるのです。

夫に「あなたが堂薗を名乗るってあり?」と聞いたことはありません。また、私自身、「別姓が法律で認められたとしても、今となっては、それを選択するかどうかはわからない」とも思ってしまっています。でもやっぱり、働くにしろ働かないにしろ、結婚すると夫婦のどちらかがそれまでの名前という「記号」を変更しなければならないということについては、なんとも言えない違和感を感じてしまうのです。

日本でもミドルネームを正式に設定できないのかしら、と思ったりします。「○○・堂薗・稚子」みたいな。どっちの姓も正式に使えるようになれば、郷愁にも似た気持ちも、実際のメリットや不便も、解消できるような気がしちゃうのですが。夫に「いい考えじゃない?」と飲みながら話したら、「システム変更コストがすごいことになりそうだねぇ」と笑っていました。

夫婦別姓の獲得に向け真剣に闘っている人たちもいるのに、軽々に話題にして不謹慎ではありますが、何かいい解決策はないものかなぁと心から思います。あなたも結婚を前にして、これから将来、いろいろと不思議な社会システムに触れることになるでしょう。お互いに、自分にとっての損得や、「どうしてこうなの!」という憤慨だけじゃなくて、「どうすればよくなるだろう」「自分に何ができるかな」と考えながら、未来の働く女性たちを支えていきたいものですね。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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