新型インフルエンザの世界的流行に冷静な対応を!

最も恐ろしいのはパニックやデマ

 この数日は報道をみる限りでは、冷静で的確な報道が多いように思う。しかし、感染症という目に見えない恐怖においては、パニックやデマの可能性を常に意識して対処する必要がある。特にインターネットなどが発達した今日においては、匿名性があるために誤った情報が流れる可能性がある。報道や厚生労働省などの公的なサイトを確認しながら、正しい情報を元に様々な判断をしていただきたい。

国内で流行が確認されたら

 近いうちに国内でも、新型インフルエンザウイルスに感染した患者(疑い例も含む)が報告されることは十分にありうる。その際には、我が国での発生段階の区分は前述の第2段階になる。
 患者が確認された地域では、学校が一斉に休校になる可能性がある。子どもが小さく、共働きなどの場合には、子どもの世話をどうするかといったことも確認しておきたい。また、職場の入り口での発熱者の確認なども必要である。

今後の流行

 今後の世界規模での流行がどうなるかは、だれもがわからないというのが事実である。しかし、シナリオとしてはいくつかが考えられる。
(1)日本にも近日に感染者がでる。どの程度の流行の規模になるかわからないが、そのまま各地に拡大する。
(2)国内では近日は感染者がでないか、限定された地域だけの小規模な感染ですむが、毎年季節型のインフルエンザが流行する冬に、再び流行する。
(3)流行はこのまま終息する

 個人的には(2)の可能性が高いのではないかと心配している。これは、これから冬を迎える南半球での流行の拡大などをみないとなんともいえない。(1)もないわけではない。いずれにせよ、対策を率先して進める以外に道がないようである。(3)を期待するのは楽観的すぎるといわざるを得ない。

One for all, all for one

 新型インフルエンザは我々にとって危機といえる。「自分だけよければ良い」という風潮が見られる昨今だが、実は、自らを守るためには、あなたの周りの人を助け、感染から守ることが効果的である。感染したヒトが近くにいれば、あなた自身が感染するかもしれないからである。家族を守り、同僚を守り、そして地域を守る。お互いに支え合うことこそが、もっとも自分にとっても良い結果となるということを再度気づかせてくれる試練ともいえる。
 新しい型のウイルスに対して多くの人が免疫を持っていないため感染する可能性がある。私ももちろん例外ではない。しかし、我々の努力によって感染拡大を最小限にとどめることができる。
 One for all, all for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)。デュマの三銃士に記され、様々な場で使われているこの言葉は、今の状況にもよくあてはまる。

企業のための新型インフルエンザ対策マニュアル
事業を継続するために、いま行うべきこと
和田耕治 著

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和田耕治(わだ・こうじ)
2000年産業医科大学医学部卒業、企業での産業医を経て、マギル大学大学院産業保健学修士課程修了・ポストドクトラルフェロー、北里大学大学院労働衛生学博士課程修了、ILO external collaborator。現在、北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、新型インフルエンザ専門家会議委員、日本医師会勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会委員。主に働く人の健康を守る産業保健と疫学を専門とする。医学博士、労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会専門医。
著書に、『企業のための新型インフルエンザ対策マニュアル』(東洋経済新報社)、『医療機関での産業保健の手引き』(篠原出版新社)、『ストップ! 病医院の暴言・暴力対策ハンドブック』(メジカルビュー社)。論文など多数。
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