設計の段階から、なるべくスタンドの観客の声援がそのままグラウンドに注ぎ込むように設計されているスタジアムもあるほどで、このように、ステイクホルダーとしてのファンを大事にしているのも、NFLの特徴のひとつです。
4、超マッチョな世界
アメフトは結局のところ、陣地取りのゲームです。大男(ライン)が壁となり司令塔(クォーターバック)を守り、司令塔は司令官(ヘッドコーチ)の指示のもと、長距離砲(ワイドレシーバー)や突撃隊(ランニングバック)を配置しながら、少しずつ陣地を進める。何百ページにもおよぶ作戦書(プレイブック)は事前に部隊に共有されていて、無線を通じて暗号化された作戦が伝えられる……。
そう、ずばり戦争をイメージしたもので、そのゲームのようなわかりやすさも、アメリカでNFLが人気な秘訣です。試合前の円陣で交わされるかけ声も、いまどきの「楽しんで行こう」といったものはまれで、「ぶっ殺してやる」「ここは俺たちの土地だ!あいつらに渡してたまるか」といった、物騒な言葉が飛び交います。
プレイを見ていると「これってほんとうに球技の範疇かな? 格闘技に近いな」と首をかしげたくなるほど接触が多く、流血やケガも珍しくありません。その戦闘的な光景は、平和を愛する人は受け入れられないものでしょう。
5、チアリーダーは恋愛禁止?
アメフトの古式ゆかしいところは、ジェンダーにも表れています。完全男文化のアメフトに、女性が介在する余地はほとんどありません。華やかなチアリーダーたちだけが、アメフトに彩りを添えます。
セクシーなチアリーダーとイケメンのスポーツ選手が恋人関係にあるというのが、ハリウッド映画によく見られる光景ですが、この点、NFLはひと味違います。チアリーダーにも高いプロフェッショナル性を求めるため、チアリーダーは、選手との交際どころか会話すら許されていないのです。意外ですよね。
NFLはスポーツマーケティングのお手本
ちなみにNFLは、チームごとの戦力の偏りを排してリーグ全体で収支を考えたり、古くからメディアを使ってマネタイズするのが上手だったり、あるいは、試合の盛り上がりや選手のケガを考慮して細かなルール変更を繰り返したり、と、経営面では柔軟で新しい視点も持ち合わせています。そのため、しばしばスポーツマーケティングのお手本としても取り上げられています。
ビジネスとしてはもちろんのこと、人づきあいの面からも興味深いNFL。ぜひ今年のスーパーボウルから、観戦を始めてみてはいかがでしょうか?
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