QBは、チームが勝てば称賛を一身に浴びますが、どれだけ健闘しても負けたら批判にさらされる。この異常なまでのプレッシャーを背負うポジションを、入団1~3年目、20歳そこそこの選手が担うことも珍しくないのが、NFLの面白いところです。
カレッジフットボールの若きQBが弱小球団からドラフトされ、1年目からベテランたちをまとめ上げることを求められるケースもあります。企業で言えば、新入社員がいきなり役員に抜擢されるようなものです。こうした、ベンチャー企業的なアグレッシブな人材登用もNFLの面白いところです。
アメフトはポジションで選手寿命や年俸が違う
2、完全な分業制
アメフトは、ポジションごとに完全分業制を取っています。ポジションは大きく、攻撃・守備・スペシャルチームと3つにわかれていますが、それらが混ざり合うことは基本的にはありません。野球やサッカーと違い、攻撃の選手(たとえばクォーターバック)は守備をしませんし、いっぽう守備の選手は試合中1度もボールに触らず、タックルばかりしているということも珍しくないのです。
さらには、キックする専門の人、キックする人のためにボールをセットする専門の人、股の間から遠くへボールを投げる専門の人までいて、それぞれが、大変高額な年俸をもらっています。それだけ細分化された専門性が要求され、実際評価されるというのは、ほかのスポーツではなかなかないことかもしれません。
面白いのは、ポジションによって選手寿命や年俸が変わってくるという点です。注目度の高い人気ポジションはたいてい相手との接触が多く、結果的に選手寿命が短い傾向があります。平均で3年~5年というポジションもあるようです。けれど人気はあるので、そのぶん年俸は高くなります。
一方、地味な役回りであまり注目されず、年俸も花形に比べれば低めというポジションもあります。しかし、匠の技を駆使して長生きし続ける、たとえば40歳を超えてなお現役という選手もいるなど、選手寿命は長くなることもあります。
仕事における花形ポジションと長期的なキャリアプラン。サラリーマン社会にも似たところがあり、がぜん興味がわいてきませんか?
3、観客もプレイに参加?
どのスポーツも観客の応援がチームを後押しするのは変わりませんが、アメフトの場合はとくに観客が「12番目の選手」と言われるぐらい大きな役割を果たします。
具体的には、相手チームが攻撃をするとき、観客たちは耳をふさぎたくなるような大声を出し、イスやフェンスをたたいて騒音をかき鳴らします(クラウドノイズといいます)。このことにより、相手チームの作戦や意思の伝達を阻害して、単なる応援ではなく実利的に自チームを助けるというわけです。逆に、自チームが攻撃するときは、いかに興奮しようとも、選手の邪魔をしないように静かにします。
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