経団連がベンチャー創出に力を入れる理由 

大企業にとって「敵」ではない

財界の総本山・経団連が、ベンチャーの創出・育成を目指す新しい動きを始めている(撮影:尾形文繁)

経団連といえば、財界の総本山、エスタブリッシュされた大企業の集まりの印象をもつ人が大多数と思います。しかし、今、そのイメージとはまったく異なる、ベンチャーの創出・育成を目指す新しい動きが起こっています。本稿では、経団連のベンチャー創出の試みについて紹介します。

起業を活性化する委員会

この連載の過去記事はこちら

日本経済団体連合会(経団連)は、周知のとおりわが国の代表的な企業で構成される経済団体です。経済の直面する重要課題に関し、財界の意見を取りまとめ、政治、行政、労働組合などとの幅広い連携のもと、その実現を進めています。会長は「財界総理」とも呼ばれ、大手町の経団連会館の車寄せには、黒塗りの車がつねに行き交っています。

そんな、エスタブリッシュメントの中心において、最近、ベンチャーや起業家の創出・育成の議論がなされています。昨年6月、経団連は新しい政策委員会として「起業・中堅企業活性化委員会」を設立。委員長には、荻田伍・アサヒグループ相談役、根岸修史・積水化学会長、立石文雄・オムロン会長と一流企業のリーダーが名を連ねています。

ここで、ベンチャー関係者を交えたさまざまな検討を進め、12月には政策提言として、「『新たな基幹産業の育成』に資するベンチャー企業の創出・育成に向けて」が発表されました。

経団連がベンチャーに注目している背景には、日本の大企業のイノベーションに関する考え方の変化があります。

従前は大企業の技術開発は中央研究所に代表される自前の研究組織を中心に進められてきました。しかし、近年、技術トレンドの変化スピードが加速し、想定外の新しい技術で既存技術がオーバーライドされる現象(破壊的イノベーション)が頻繁に起こる中、自前主義の限界が明らかになってきました。未知なる小さな市場から生まれるイノベーションは、大きな組織の体制や意思決定の仕組みでは対応しにくいのが現実です。

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