ベンチャー企業に魅力を感じて、志望する学生は多い。一方、伝統のある老舗企業に対して閉鎖的、硬直的といったイメージを持ち、敬遠する学生は少なくない。しかし、ちょっと待っていただきたい。老舗企業には長年存続し続けてきたすごみがある。
たとえば、明治時代中期の設立となれば、日清・日露戦争、関東大震災、昭和大恐慌、第2次世界大戦、戦後の混乱、石油ショック、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など、ありとあらゆる困難を乗り越えてきたことになる。ただ単に保守的で、前例を踏襲するだけの企業だったならば、生き残れなかったはずだ。経営力が優れていたからこそ、設立から100年以上経過しても存続しているのだ。
多くの企業が誕生するが、存続は容易でない
中小企業庁の調査では、起業後10年後には約3割の企業が、20年後には約5割の企業が廃業している(2011年版中小企業白書)。毎年、多くの企業が誕生するが、存続は容易ではない。調査を見れば老舗企業の強さがよくわかる。
また、老舗企業イコール閉鎖的というのは誤解だ。老舗企業でも上場企業ならば、業績や財務内容がガラス張りである。反面、ベンチャー企業であっても、上場していなければ外部に会社情報を公開していない。会社の情報はオーナー(=大株主)社長が独占して、社員といえども企業の実情がよくわからないことがある。老舗というと血縁のオーナー社長が牛耳っているイメージがあるかもしれないが、オーナーがいる場合に、そのオーナーが圧倒的に大きな力を持っているのはベンチャー企業も同じだ。
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