老舗企業の破産が映す、「100均業界」の激動 「デフレの勝ち組」と呼ばれた業界に異変

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井上工業は100円ショップ向けのサンリオ商品で市場をほぼ独占していた(撮影:尾形文繁)

100円グッズの老舗の破綻は何を意味しているのか。100円ショップ向けに、各種キャラクターをあしらった卓上用品などを製造・販売していた井上工業が9月24日、事業を停止し、自己破産の申請準備に入った。

同社は1973年に設立。もともと若狭塗りばしを製造・販売していたが、ディズニーなどのライセンスを取得した後は、100円ショップを主な取引先として事業基盤を拡大した。

特に、100円ショップ向けのサンリオ商品はほぼ独占状態。セリア、キャンドゥ、ワッツなど大手各社に納入していた。中でも「ザ・ダイソー」を運営する100円ショップ首位の大創産業向けは、売上高の過半を占めていた。

ダイソーと重なる井上工業の盛衰

ピーク時の2007年7月期には売上高を46億円超まで伸ばしたが、以降は減少傾向をたどり、2010年7月期の売上高は25億円までダウン。実は、この業績推移は、大創産業の動きとほぼ重なる。

100円ショップ業界は1989年の消費税導入後、消費者の節約志向を追い風に急成長。宝探しのようなワクワク感と目新しさが人気の理由だった。

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