価格と燃費を両立、HVには負けない 日産・新型ノート、企画責任者・水口美絵氏に聞く
--世界戦略車として、どこを世界で標準化して、どこを地域最適とするかの判断が難しかったのでは?
確かに難しかった。ただ幸いなことに、この車はすべて成熟国にターゲットを絞っています。同じVプラットフォームの兄弟で言えば、マーチは新興国も成熟国も両方想定しています。サニーは新興国が中心ですが、成長市場なので簡単に情報が整理できない。そのためある程度「最小公約数」で車を作らざるを得ない。それに対し、成熟国ではコンパクトカーに対するニーズは一致しています。価格と燃費の二元価値です。
--お客の声をどう拾ったんですか。
ノートは年間12万台の販売を計画しています。そのためお客様からはピンポイントで声を拾うのではなく、お客様の日常生活のストーリーを聞き出し、私たちがその生活をいかに「楽に」「便利に」「楽しく」できるかを考えていきました。
社員の声も多く聞きました。この車は日常使うものだから、通勤に使うとか、奥様のために買うといった社員から偏りのない意見を拾いました。身近な人の意見は意識的に聞ききました。
想定する顧客層は小さい子どもを持ったビギニング(ヤング)ファミリーです。先代のノートやティーダは、幅広い顧客層がおり、性別もちょうど半々。その中でも年齢層の高いポストファミリーが最大のボリュームゾーンでした。
今回、ビギニングファミリーをターゲットとしたのは、もっとこの層を取り込みたいから。先代のノートやティーダは、排気量1.5リットル以上のエンジンを積んで、価格もやや高め。「良くできたカジュアルウエア」といった感じだった。
新型ノートは1.2リットルのダウンサイジングエンジンで価格を抑え、「ユニクロ」のようにどの世代にも受け入れられるベーシックカーにしました。