価格と燃費を両立、HVには負けない 日産・新型ノート、企画責任者・水口美絵氏に聞く
--CPSに指名されたときはどう思いましたか?
当時CPSは百戦錬磨の企画担当者がなる「いぶし銀」の役職だと思っていた。だから最初は「おこがましい」「私で大丈夫か」と思いました。ただ、前に担当した「キューブ」ではかなり自由にやらせてもらって、CPSに近い仕事を30代のうちにしていました。周りの人も大丈夫と言ってくれて、かなりサポートしてもらった。
--水口さんのご経歴はとてもユニークです。
新卒でトヨタ自動車に入社し、「クラウン」などのデザイン企画を担当しました。10年ほど務めた後、一度退職して専業主婦になりました。しかし、もっと私にできることがあるのではないかと。再就職先として何社か面接を受ける中で日産が最もカジュアルで、人間的だった。
トヨタはすごくしっかりして、優秀な会社。ただ会社主体ではなく、もっと人間主体の会社に行きたいというイメージがあって、それに日産が最も合っていた。日産では大型車ではなく、自分の生活実感に合った、自分でも買えるコンパクトカーをやりたいと希望しました。
--日産で初の女性CPSです。
社内の関連部署にはマネージャークラスに女性がたくさんいる。社内では普通のこと。「女性だから大変だったことは?」と良く聞かれるが、大変だったことはない。私自身が女性であることを意識したことはありません。
車の開発面では、毎日の生活でやることを軸に考えて、それをどれだけ車が楽しく便利にできるかを考えました。その発想は女性的なのかもしれない。男性は車の機能に対する関心が高い。ただ、それも東日本大震災で多少変わり、日常生活を大事にする男性も増えてきたのでは?女子は毎日の幸せにすごく敏感。遠い未来よりも、毎日のことをしっかりやろうとします。
これまでは私自身が出勤でも、週末の遊びにも、主婦としても車を使ってきた。ノートの開発には、女性の視点や主婦としての経験が生きたと思っている。