貧困度の高い日本は格差是正策を打つべきだ OECD加盟34カ国で6番目に高い貧困度
この問題に取り組むために、私は『21世紀の不平等』を書いた。この本に私は所得の不平等と貧困を減少させるための15の具体的な提案を盛り込んでいる。
日本における所得の不平等や経済的困窮の程度は、1世代前よりも目に見えて高くなっている。米国や英国ほどの高さではないかもしれないが、ドイツやフランスよりは高い。OECD(経済協力開発機構)による2013年の経済調査には、日本での不平等と困窮について「共に近年上昇しており、相対的な貧困度は34のOECD加盟国で6番目に高い」とある。
日本の場合、財政再建への取り組みが不平等と貧困にかえって悪影響を与えたといえる。不平等には世代間格差という重要な側面があるが、これには政策の影響も大きいといえるだろう。
労働者よりも高齢者へ向けられる国の支出
大阪大学の小原美紀氏と大竹文雄氏の研究によれば、日本では社会の高齢化に伴い高齢者への国の支出が増加しており、訓練や教育のための助成金などといった労働人口への支出は、かなり限定されているということだ。
ただし、不平等を減らすことはただ単に財政の課題であるわけではない。この本、『21世紀の不平等』での提案の多くは賃金と資本所得に関連したものだ。収入格差の拡大は、高学歴労働者に対する需要がその供給以上に早く増えることからもたらされる。経済学の教科書にはそう書かれている。
オランダの経済学者であるヤン・ティンバーゲンは40年前に、優秀な労働者を生み出すための教育と、より多くの熟練工を必要とする技術的な変化とのせめぎ合いについて解明した。それに加え、今日は労働者の需要がグローバル化しているという要因もある。
この話は、それぞれの国の労働市場に関する制度に照らして考える必要がある。日本での非正規雇用の割合は1984年から12年の間に2倍以上に増加した。
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