男の子が貧困の影響をもろに受けやすい理由 すでに幼稚園から成熟度で女子に遅れをとる
男の子の落ちこぼれが目立つ。高校卒業率も大学進学率も女子より低く、警察のお世話になる可能性は女子よりも高い。それは社会人になったとき、なにかと不便を生じさせる……。こうした落ちこぼれの男女差は、アメリカ全体で見られる。ただ、貧困層と黒人の間では、そのギャップがとりわけ大きい。社会全体で格差が広がるなか、その影響をいちばん受けるのは少年たちなのだ。
なぜ男の子が影響を受けるのか
なぜ、同じ環境にあっても、男の子のほうが落ちこぼれやすいのか。この疑問に対して、最近まとめられた研究が、ひとつの答えを提示した。すなわち、男の子のほうが女の子よりも不利な環境に敏感に反応するから、だ。貧困家庭で育つことや、荒れた地域に育つこと、あるいは父親の不在といった環境要因は、女の子よりも男の子に深刻な影響を与える。親や行政や教育現場が、男の子の落ちこぼれ対策を練るとき、この傾向を踏まえることが第一歩になるはずだ。
「問題は恵まれない家庭そのものにある」と、研究報告書を共同執筆したノースウエスタン大学のデービッド・フィグリオ教授は言う。「アメリカでは、黒人は白人よりも恵まれない環境にあることが多い。それを是正すれば、相対的な男女差も縮まるかもしれない」
シカゴ大学ブース経営大学院のマリアン・バートランド教授(経済学)と、シンガポール国立大学のジェシカ・パン准教授も、恵まれない家庭の男の子は女の子よりも落ちこぼれやすく、親が子供に費やすおカネや労力や時間の違いに敏感に反応することを明らかにした。「調査結果は極めて一貫している。子供にたくさん投資している家庭は、男の子を守る意識も高い」と、バートランドは言う。