「本社は鉄筋ビル」という常識は間違っている 住宅仕様にすると、良いことがいっぱい

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シガウッド社長の高橋文夫さん

長浜は、戦中から戦後にかけて、ヤンマーディーゼル(現・ヤンマー)の企業城下町として発展しました。ヤンマー創業者の山岡孫吉氏が、生まれ故郷の長浜に農機具などの工場を建設。多くの下請け工場もできました。高橋社長の父親も、当時、ヤンマーの国内出荷用の梱包箱を扱う木工所を経営していました。

その後、長浜市内の下請け木工所3社と彦根の建材会社1社が一緒になって協業組合が誕生します。滋賀県下で木材を業とする経営者たちの思いを込めて「シガウッド」と命名。当時(昭和46年)では珍しい横文字の名前でした。

時代の変化に対応し、自動車部品の輸出梱包資材、物流・倉庫保管用の木製パレットの製造にも進出し、業績は順調に伸びていました。そこへ、バブル経済が崩壊。輸出梱包需要が急減するとともに、安価な輸入製材品が増加したことから、2期連続の赤字になります。悪いことは重なるもので、2年続けて労災事故が発生し、理事長で安全管理責任者でもあった父親は、責任をとって職を辞することになります。後継者候補はほかにもいたのですが、若くして病死したり長期病気療養中だったりして、最終的に高橋社長が後を継ぐことになりました。低迷から脱するため、心機一転、協業組合を株式会社に衣替えします。高橋社長44歳、シガウッドの第2の創業です。

経営陣は経験が浅く、取引先の信用も新会社でリセット。決済は従来の約束手形からすべて現金に変わる、という苦しいスタートでした。そんな中、高橋社長が出会ったのが、2×4工法の住宅でした。

「住宅の2×4工法は、6面体の箱を組み合わせるやり方です。木箱作りなら、大手自動車などの輸出用梱包資材の実績があり、経験者も豊富です。ベースがあったおかげで新事業への取り組みもスムーズにできました。」

製造、営業、総務の3部門で一体経営

第2創業の2年前は、阪神・淡路大震災があった年です。老朽化した木造家屋が倒壊した中で、2×4工法の住宅が地震に強いと改めて高く評価されました。需要増を見越して、関西圏だけでなく距離的に近い愛知、岐阜、三重県にも積極的に進出。その甲斐あって、シガウッドは今や東海・近畿・北陸地域で業界有数の2×4工法躯体メーカーです。

「製造、営業、総務の3部門一体となった経営が私どもの特長です。どこかの面で抜きんでた強さを持っているわけではありません。でも業界のリーディングカンパニーとして、総合的な住宅の提案では、どこにも引けを取らない自信を持っています」

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