アマゾンが火をつける、超高速EC配達バトル 王者アマゾンは1時間、楽天は20分!

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楽天の仕組みは独特だ。倉庫と配送を一体化させるアイデアを盛り込んだ。

配送車両はあらかじめ商品を積み、街中を巡っている。注文を受けると、そのまま客先に向かう。在庫がなければ物流拠点で商品をピックアップして配送する。車内に在庫を備えることで、配送に出る回数を減らして、コスト削減につなげている。

12月からは自転車で出来たての料理を届けるフードデリバリーも開始した。今後は取り扱う商品数の拡充を優先しつつ、配送エリアの拡大についても検討する方針だ。

コスト増は想定どおり?

アマゾンはプライム・ナウについて「全国で展開したい。早ければ早いほどよい」(日本法人のジャスパー・チャン社長)と積極的な姿勢を見せる。

一方で、送料無料の2時間便を含めた全体の投資規模や収益性については、明らかにしていない。チャン社長は1時間便の料金について「適当な金額」と語るが、1回の注文で1台のバイクを走らせるといったスピード重視の配送は、人件費を考えても相当にコストがかさむはずだ。

実際、14年に「ゾゾタウン」の即日配送を無料化したスタートトゥデイでは、注文の増加とともに運送コストが上昇。今年11月から無料の即日配送を有料会員限定のサービスに切り替えている。

ただ、アマゾンは現在、有料会員の新規獲得と既存会員の囲い込みに全力を注ぐ。プライム・ナウがコスト増につながるとしても、会員サービスの拡充によって安定的な収益を確保する、中長期の戦略とも考えられる。そうだとすれば、全国展開を一気に進める可能性がありそうだ。

アマゾンの新サービスが広がれば、消費者の即時配送ニーズはさらに高まっていくだろう。アスクルやヨドバシカメラといったライバル事業者も、より本腰を入れて、スピード競争に乗り出すことになるのは必至だ。

「週刊東洋経済」2015年12月19日号<14日発売>「核心リポート02」を転載)

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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