「アマゾン決済」は日本をどう攻めるのか?

サービス開始から5カ月、EC王者の戦略を聞く

アマゾンの新しい決済サービスについて、「日本がいちばん伸びている」と語るゴティエ副社長
初めて利用するEC(電子商取引)サイトで、クレジットカード番号や住所などの個人情報を入力するのが面倒で仕方がない。半年ぶりに訪れたECサイトでも、IDやパスワードのアカウント情報を思い出せない――。
こうした悩みを解消するのが「ID決済」と呼ばれるサービスだ。あるネットサービスのアカウントを別のサービスで活用し、ログインやクレジットカード決済ができる。カード番号の情報を自前で管理する必要がなくなるメリットもあり、EC事業者の間で導入機運が高まっている。
米アマゾンは今年5月、自社アカウントを外部サイトで利用できるID決済「ログイン&ペイメント」を日本でスタートした。市場が大きく広がりそうなID決済だが、当然、ライバルも多い。アマゾンは日本市場をどう攻めるのか。米ペイパルから今年アマゾンに移り、ID決済事業を統括するパトリック・ゴティエ副社長に話を聞いた。

 

――国内ではペイパルや楽天に加えて、ヤフーやLINEもID決済のサービスを始めている。アマゾンは後発だが、自社のID決済を広める上で、何が強みとなるのか。

確かに、ID決済の分野で類似するサービスはたくさんある。ただ、アマゾンのブランド力は圧倒的だ。何かを買おうと思ったときに、グーグルではなくアマゾンのサイトで調べる人が多いはずだ。

アマゾン決済には「安心感」がある

――知名度の高さや消費者との接点が多いことが、サービスを導入する事業者を獲得する上で有利に働くという考えか。

 その通りだ。実際にアマゾンを使うと、簡単に買い物ができて、優れたサービスで品物が配送される。そうした体験をしている多くの消費者にとって、使い慣れたアマゾンの決済サービスを他のECサイトでも使えることは、安心感につながる。これまで積み上げた消費者との接点の多さや知名度が武器になる。

――アマゾンには、さまざまなEC事業者が出品する「マーケットプレイス」もある。外部のECサイトに決済システムを提供することにビジネスモデルの矛盾はないのか。 

EC事業者の自社サイトで買い物をすれば、アマゾンと違う雰囲気や統一されたブランド感を消費者に楽しんでもらうことができる。それでいて、決済だけはアマゾンのサービスを使い、支払いの安心感や利便性を高めることができる。マーケットプレイスとともに自社サイトの事業を成長させた例もあり、ビジネスモデルそのものが食い合うものではない。

アマゾンのID決済は、2013年秋に米国でサービスを開始し、2014年秋からはドイツ、英国、インドでも展開。今年5月からスタートの日本は、5カ国目の投入だ。

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