今後の世界経済は「産油国」に用心が必要だ 石油価格の再浮上は当分先のことになる

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それが2015年度にはどうなるか。商社の業界団体である日本貿易会が12月3日に発表した最新予測でいくと、輸入全体が77.9兆円、鉱物性燃料が17.7兆円、うち石油は8.6兆円ということになっている。ちなみにこの予測は、原油入着価格1バレル56ドルを前提条件としている。実際にはもうちょっと下がると見ても構わないだろう。つまり燃料費が激減して、3年前の半額くらいになる。結果として輸入全体も減少して、その間に輸出が少し増えるから、日本の貿易赤字はほぼチャラになるくらいまで減少する見通しだ。

ついでに言うと、貿易収支の劇的な改善を受けて経常収支の黒字は2015年度に17兆円を超える見込みである。GDP比で3%を軽く超えるのだから相当な水準だ。経常黒字が8000億円まで減少し、「もうすぐ日本は『双子の赤字』国になる」と喧伝されたのは2013年度のこと。わずか2年でここまで戻ってしまうとは、日本経済はまるでライザップの生島ヒロシさん並みではないか。これでは来年の為替レートは、大勢の予想と逆に円高に向かうのではないかと筆者はにらんでいる。

産油国の実体経済はますます冷え込む

昨年の夏までは、WTI価格は1バレル100ドルを超えていた。それが今年はざっくり半値になったわけだが、来年はさらに半値になってしまうかもしれない。こういうときの生産者側は、最初の5割減はなんとか耐えられても、さらなる5割減はさすがにキツイだろう。2016年の世界経済は、ズバリ産油国にご用心ということになる。

端的に言えば、産油国の国家戦略ファンド(SWF)がカネに困って持ち株を処分してくるかもしれない。国際商品を派手に手掛けていたグローバルファンドが、大赤字を出してクローズしたという話も聞く。そうでなくとも、産油国の実体経済はますます冷え込むだろう。既に日本製の鉱山用機械輸出には影響が出ている。

政治リスクにも注意が必要だ。12月6日のベネズエラ総選挙では右派の野党が勝利したが、その背景には石油安による経済危機があったと見るべきだろう。中東における地政学的リスクも、確実に高まるはずである。

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