OPEC「減産合意」なら株式市場はどうなるか 産油国の動向から目を離してはいけない
日本株は膠着状態にある。市場では、政府の補正予算やこの時期特有のアノマリーなどに期待する声も多く、「日経平均株価の2万円超えは時間の問題」との声も聞かれる。しかし、米国では利上げへの懸念や地政学的リスクを背景に上値を買う動きに乏しく、日本の事情だけで上昇するには力不足の状況にある。またここにきてドル円相場の上値が徐々に重くなっていることも、日本株の潜在的な重石になっている可能性がある。
地政学リスクに慌ててはいけない
パリで起きた同時多発テロやアフリカのマリで起きたテロ事件など、頻発するテロに加え、今度はシリア空爆に関する報道が市場を不安定にしつつある。24日の米国市場では、シリア国境でトルコ軍機がロシア軍機を撃墜したとの報道で地政学的リスクに対する懸念が強まり、ダウ平均株価は一時大きく売り込まれる場面が見られた。
これらの不透明要因に対する市場の最初の反応はどうしても売りになりがちである。しかし、その後は世界経済や株価への影響がないことを確認すると、すぐに買い戻されることが少なくない。テロや中東情勢不安は確かに市場にとっては懸念材料ではあるが、その内容をよく吟味し、慌てて手仕舞い売りを出すことは避けたいところである。そして、それ以外の要因で株価が不安定になりつつある点を見逃さないようにしたい。
その一つが原油相場の動向であり、ドル相場の変調の兆しである。これまで原油価格の下落は、個人消費にとってプラスとの見方から、下落は歓迎されてきた。しかし、これだけ価格が下げると、資源関連企業の収益が大きく落ち込み、これらの企業の株価が大きく落ち込む原因になっている。
結果的に、市場を不安定にさせる要因となり、いまでは「原油価格が上昇すると、資源関連株が買われるのでよい」といった都合の良い発言も聞かれるようになっている。しかし、今後原油価格が上昇すれば、低いコストで生産していた製造業の負担は増えることになり、企業業績は圧迫され、株価もそれを反映して上値を追うのが困難になるだろう。
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