楽観論が聞かれる今こそ市場急変に要注意 気になる米国のダウ輸送株指数の伸び悩み

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4日に上場した郵政3社。11月は地合いがどう変わるのか、市場関係者は注視している(撮影:尾形文繁)

4日は米国株の堅調さや郵政3社の上場を祝うかのような買いが入り、日経平均株価は取引時間中には一時1万9000円を上回る場面が見られた。しかし、その後は利食い売りが出て、前日比243円高の1万8926円と大台を割り込んで取引を終えた。「郵政上場をきっかけに地合いが変わった」との指摘も聞かれるが、この日の動きを見る限り、少なくとも日本株の反発はまだまだ本物には見えない。

郵政上場で強気筋が復活

というのも、結局200日線が位置している1万9200円を明確に超えることができなかったからだ。むしろ上値の重さが目立ったというのが筆者の率直な感想である。しかし、市場では、郵政3社上場をきっかけに地合いが好転し、株価は上昇に向かうと言った楽観論が聞かれる。また10月の株価動向が堅調だったことも、株式市場関係者を強気にさせている。そのため、いわゆるアノマリー(経験則)を背景に、今後も上昇基調が続くとの見方も少なくない。

株式市場では「10月に買い、5月に売れ」といった格言がある。このようなタイミングで投資を行えば、過去には高いパフォーマンスが得られていることが背景にある。確かに過去の米国株のパフォーマンスを調べると、10月末から4月末までの騰落率は6.8%と非常に高率である。

また10月の騰落率が高かった際には、この期間のパフォーマンスはさらに大きくなる傾向がある。たとえば、10月の騰落率が1%を超えた場合、同期間の騰落率は8.7%で、5%以上の場合には13.6%に跳ね上がる。今年の10月の騰落率が8.3%と高率だったことを考慮すれば、米国株の今後に期待したくなるのは当然である。

リスク資産の株式に対してこのような楽観的な見方がある一方、安全資産である金(ゴールド)の11月以降の騰落率もきわめて高率である。金の場合には、実需を背景にした価格上昇が顕著な11月から2月の騰落率が特に高い。この4カ月間の騰落率は4.9%で、同期間の米国株の4.2%を上回っている。つまり、この期間に限っては、米国株よりも金に投資した方が良い結果を得られる計算になる。

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