不均衡は限界に達し、調整は避けられない
三井:中原さんの最新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』を読ませていただきました。前回インタビューさせていただいたときに、経済を見るポイントとして「物事の本質とは何か」「歴史の教訓をどのように生かすのか」「自然科学的な発想ではどうなるのか」といった視点を教えていただきましたが、今回もそれらの視点は健在のようですね。
中原:ありがとうございます。今回の著書では「本質」や「歴史」に加えて、「不均衡」と「連鎖」の二つの要素に重きを置いて説明しています。
経済の健全な姿とは異なる不均衡が累積していくとき、その不均衡がある一定の限度を越えてくると、必ずどこかで不均衡を解消しようとする強い力が働くようになります。地震が海底プレートと地底プレートの間の歪みが蓄積することで発生しているように、経済の事象においても、不均衡(=歪み)の蓄積を解消しようとして、激しい揺れが起こってしまうわけです。
ただし、本物の地震の揺れと経済的な揺れの違うところは、地震の大きな揺れは地球の裏側には波及していかないのに対して、経済的な激震は世界の至る場所に連鎖して広がっていくということです。グローバルな経済のもとでは、実体経済とマネー経済が密接につながっているので、経済的な激震の影響が連鎖してくると、国家も企業も人々も受け身になって耐え忍ぶしかないのです。
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