米国の利上げで壮大な「経済実験」が始まる

ズバリ聞く!中原圭介の2016年経済予測

三井:米国経済が減速に向かうというのは、その悪影響が他の国々にも連鎖していくと考えられますね。

中原:そのとおりです。米国の消費が弱まるということは、米国の輸入の減少を通じて、米国への輸出で稼ぐ国々へ少なからず経済的なダメージを与えることになります。米国への貿易黒字が大きい日本や中国などの経済も悪影響を受けることが避けられないでしょう。米国経済の減速は、世界経済に負の景気循環をもたらすことになるのです。

経常赤字国は景気低迷に拍車

そのうえ懸念されるのは、新興国での通貨安が進むことによって、金利上昇が見込まれているということです。2004年から10年間続いた先進国から新興国へのマネーの流れは、2014年からすでに逆回転し始めているのですが、米国の利上げ観測に加えてチャイナショックが起こったことで、マネーのドル回帰はいっそう進んでいます。このような状況下で米国が利上げを行うことになれば、とりわけ経常赤字に陥っている国々ではさらなる通貨安が進み、悪性のインフレに苦しむことになるでしょうね。

三井:そうなれば、インフレ抑制と通貨防衛のために、それらの国々は利上げで対応しなければならないということでしょうか。

中原:まったくそのとおりです。景気が低迷しているのに金利が上昇することになれば、景気の低迷にいっそう拍車がかかるという悪循環にはまり込むことになるのです。米国の利上げによって、マネー経済の膨張と偏重という不均衡が修正に向かい、その影響が世界各国に連鎖波及していくことになるでしょう。まさに、実体経済と金融市場が大きな転換点を迎えることになるわけです。

もちろん、世界各国の経済情勢は国々により異なり、景気減速の度合いにも濃淡の差が出ることになるでしょう。そのような中で、少なくとも米国と日本においては、原油価格の低迷のおかげもあって、不況というレベルには陥らないと考えています。          (撮影:梅谷秀司)

第2回は「中国経済編」、第3回は「日本経済・円相場編」をお届けします。

 

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