日経平均はじわじわ上値を窺う展開になる 専門家の憶測を排し「事実」に目を向けよ
これまで当コラムで何度も述べた通り、10月30日(金)の日銀金融政策決定会合でも、追加緩和はなかった。決定会合の結果発表直後は、極めて短期的には株安に振れたが、その後はむしろ株価が上昇して週を終えている。為替市場では、やはり追加緩和見送り直後に短期円高になったものの、そこからいったん円安に持ち直した。その後、欧州時間に入って、円を買う動きが優勢となったが、先週の米ドル円の最安値(円の最高値)は割り込むことなく、そこからやや円安に持ち直して引けている。
筆者は前回の当コラムで「短期的には、日銀が追加緩和するかしないかを無理矢理材料にして騒ぐ向きはあろうし、それにつけこんだ投機の売買が株価を振れさせることはあるだろう。しかしそれだけのこと。中長期的な景気や株価の動きを、今月末の追加緩和の有無が決定づけるということは考えにくい」と書いた。市場参加者が筆者と同様に、日銀が追加緩和するかどうかで騒ぐことはない、と正しく考えた結果が、先週末の落ち着いた市場動向となったのであれば、喜ばしいことだ。
なぜ日銀が追加緩和しないと予想したのか、なぜ日銀が追加緩和するかしないかが、今後の経済や市場の動向についてあまり影響を与えないのか、これらについては近著「ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係」で詳しく述べているので、そちらをお読みいただきたい。
中国経済の影響を巡って専門家が右往左往
ただ悲しいことに、日本の金融政策を巡って右往左往する専門家は多かった。先週の内外株式市場では、もう一つの右往左往があった。それは、中国経済の悪化が日米などの企業収益に与える影響を巡る思惑だ。中国経済の悪化はじわじわと進行しているが、それ自体は、中国市場に投資していない限り関心の外だろう。日米などの株式市場に資金を投じる投資家にとっては、中国経済の悪化が日米の企業収益にどの程度の悪影響を及ぼすのか、大いに気になるところではあるが。
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