10月28日、米国ではFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれ金利据え置きとなったが、FRB(米連邦準備制度理事会)は経済に大きな変化がなければ、次回の12月に利上げする方向であることを鮮明に打ち出した。これは本コラムで前回予想したとおりである。日本では10月30日金曜日、日銀の政策決定会合が開かれる。
こちらは市場関係者の間、とりわけ外資系を中心に追加緩和の可能性が高いという見方が多い。しかし、追加緩和は絶対にない。永遠にない。あると言っている人々は願望を述べているだけである。ポジショントークである。しかし、その願望は実現しないだろう。なぜか。彼らの論理がいかに間違っているかを分析してみよう。
インフレ率が重要なのではない
追加緩和があるという理由の第一は、インフレ率である。日銀は物価上昇率目標を2%に設定している。黒田総裁は断固として実現すると言っていた。そのインフレ率はほぼゼロパーセントまで落ち込んだ。下手すればマイナス、つまりデフレショーンである。デフレ脱却が目標なのにデフレになってしまっては日銀政策の大失敗だ。だから、インフレ率が下がってくれば日銀は追加緩和をせざるをえない、となる。
現在のインフレ率の低さは原油下落にも要因があるが、下落が止み低位安定となったとしても、インフレが起こる気配はない。そもそも、これまでインフレ率がプラスになったほとんどの理由が円安進行なので、円がここまで暴落してしまえば、さらなる円安が起きない限りインフレにはならない。このままではインフレが起きない以上、日銀は何としてもインフレを起こし、インフレ率2%を達成するために、追加緩和をせざるをえない。これが彼らのロジックだ。
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