「米住宅バブル崩壊」「欧州債務危機」をはじめ、「原油価格の暴落」「米国経済の復活とドル高の進行」「新興国経済の減速」を的確に予見し、もっとも予測が当たる経済アナリストと評される中原圭介氏に、フィスコリサーチレポーターの三井智映子氏がインタビュー。最終回となる今回は日本経済、日本株、為替を取り上げる。
アベノミクスの恩恵は上位2割だけ
三井:今回は最後のインタビューとなりますが、前回同様、中原さんの最新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』の中から、日本経済の現状と今後について伺いたいと思います。まず、日本の実体経済の現状をどのように見ておられますか。
中原:私はこれまでさまざまなメディアを通して「アベノミクスの恩恵を受けているのは、全体の約2割の人々に過ぎない」と訴えてきましたが、大手メディアの世論調査でもおおむねそれに近い結果が出ているようです。
なぜ2割なのかというと、大雑把に言って、富裕層と大企業に勤める人々の割合は2割くらいになるからです。要するに、残りの8割の人々は現政権の経済政策の蚊帳の外に置かれてしまっているわけです。
三井:今年1月のインタビューのときに、中原さんがおっしゃっていた「経済政策とは誰のために存在するのか? その答えはもちろん、市井で暮らす国民のために存在しているのだ」という言葉が印象に残っています。国民の生活水準の落ち込みは大きいままですね。
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