12月米利上げまでは「手仕舞い売り」が賢明 ドル高基調が終了し激動の時期を迎える
日本の7〜9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となり、2四半期連続のマイナス成長となった。設備投資がさえず、個人消費も回復が鈍いことが示された。中国経済の減速懸念など、日本を取り巻く環境は厳しいことが浮き彫りになったが、市場では景気後退懸念を背景に補正予算への期待が根強く、悲観的な声は聞かれない。13日にパリで発生した同時多発テロの株式市場への影響が限定的だったことも安心感を与えている。
テロの株式市場への影響は軽微
13日にパリで起きた同時多発テロの市場への影響が懸念されたが、ひとまず大きな混乱はなかったといってよいだろう。そのため、FRBによる利上げ判断への影響もないものと思われる。こうなると、当面は市場全体のトレンドはそれほど変わらないと見るのが一般的であろう。つまり、ドル高基調が続く一方、原油などのコモディティ安が欧米の主要株価指数を押し下げる構図である。
しかし、コモディティ安により世界的にデフレ懸念が高まっており、この点をFRBも懸念しているはずである。雇用情勢は劇的な改善を見せているだけに、FRBのデュアルマンデートである雇用の拡大と物価の安定の両面を達成するには、この構図が大きく変わる必要がある。それにはドル安しかないことは、すでに本欄で何度も指摘した。しかし、実際にはなかなかドル安基調に転換しない。これは、米利上げが控えていることや、ECBが追加緩和を示唆していることが背景にある。
それでも筆者は米利上げをきっかけに、金融市場の環境は大きく転換すると考えている。つまり、米利上げをきっかけに当面のドル高基調が終了し、これをきっかけにコモディティ価格が反転するシナリオである。また株式市場は一時的なショックは避けられず、最大で半年程度は軟調地合いが続こう。しかし、その後は株価も戻り基調に入り、来年は今年の高値を更新する可能性は十分にあると考えている。
本欄で解説したように、株価とコモディティの相対的な強弱感は4年ごとに入れ替わるため、今後はコモディティが株価に対して高いパフォーマンスを示すことが想定される。コモディティ全般が上昇するには、原油価格の反転が不可欠である。原油価格は年内に8月につけた年初来安値を更新する可能性が高いとみているが、そうなれば産油国はいよいよ減産を真剣に議論し始めるだろう。
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