「2000円、3000円のラーメンを作りたいと思ったことはない」…ラーメン界のカリスマが始動、1杯790円でも儲かる「古き良きラーメン店」の秘訣
「ねぎとん」のスープを一言で説明するのは難しい。白濁しているが、いわゆる濃厚豚骨とは違う。塩とも、豚骨とも、醤油とも言い切れない。その理由は、コンセプトにある。
「スープを作るというより、“美味しいお湯を作る”っていう感覚なんです」(小宮さん)
この言葉は、小宮さんが敬愛する「田中商店」店主・田中剛さんから受けた影響だという。
主役となる素材を立たせるのではなく、何も立たせない。ど真ん中に“お湯”を置き、そこにうま味を溶かしていく。結果として生まれたのが、毎日でも飲める、引っかかりのない、それでいて確実に記憶に残る一杯だ。
スープが半濁しているのも、狙った結果というより合理性の積み重ねだ。前日の夜から骨を炊き、余熱を活用する。朝は骨を抜き、チャーシューを仕込み、その煮汁をスープに加える。
時間も、人の労力も減るし、結果としていい色になる。効率化は、味を犠牲にするためではなく、味を成立させたまま、無駄を削るためにあるのだ。
トッピングにも様々な工夫が込められている
そして、ほかにあるようでないトッピング「あまとろネギ」はこのラーメンの最大の特徴の一つだ。白髪ネギの辛さ、水にさらすことで失われる香り。火を通すと甘くなるが、そのまま置いておくとクタっとして見栄えが落ちる。
その矛盾を解決するため、小宮さんは目の前でネギを揚げるという方法にたどり着いた。提供直前に、ラーメンの茹で時間に合わせて、ネギをちょうど“とろ”になる温度で油に通す。ネギにまとった油は作りたての香味油(ネギ油)となる。
さらに、のれんに大きく書かれた「切りたてチャーシュー」「寸胴一本スープ」「手打ち仕立て麺」「あまとろネギ」という言葉。これは、お客さんの脳内に「美味しい」を先に作る装置でもある。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら