窪田:自分の幼少期を振り返ると、ずいぶん危険な経験もしてきました。街の開発でどんどん遊ぶ場所が減る中で、線路の上ですら遊んでいましたから。電車が来て警笛を鳴らされたら慌てて逃げて、「あっぶねー!」「スリル満点!」なんて言っていましたが、あんなことを自分の子どもがやっていたら気が狂うだろうなと思います。
しかし無菌状態で育ててしまうと、あらゆるものに対する抵抗力も身に付きません。本当にジレンマですが、ある程度は子どもの手を放すということが意識的にできるかどうか、それこそが「戦略的ほったらかし」ですね。
岩田:現代社会では、コンプライアンスやハラスメントなどが非常に重視されています。もちろんそれらも大事なことではあるのですが、度が過ぎるのも考えものではないでしょうか。今の大人は、こうした窮屈な世の中で寛容さを失っていると思います。
会社など組織の中での人材育成も同じだと思いますが、子育ても寛容さがなければ絶対にやっていけるものではありません。人を育てることは、「失敗してもいいからチャレンジしよう」という土壌があってこそのものだからです。
「コンプライアンスしばり」は危険
窪田:確かに、個別最適の点から言っても、コンプライアンスだけに囚われるのは得策ではないと思います。仕事でも学校でも、本人のスイッチがオンになっていて、挑戦したくてワクワクしているなら、無理に止める必要があるのだろうかとも考えさせられますね。
子どもを年齢で区切った対処法も目にすることがありますが、あれは能力や体力に関係なく機械的に労働時間を定めるのと同じで、育成にもマネジメントにもなっていないと思います。
岩田:あれは絶対におかしいですよね。
窪田:例えば12時に昼食を食べるという現代の常識も、労働生産性を高めるために一律で決めただけのことなのです。でも、朝食の時間や量、体格や運動量によってもお腹がすく時間は違うはず。
みんなに同じ行動をさせる社会構造は効率的ではありますが、とくに個人差の大きい子どもにとっては苦しいでしょうね。


















