ガラパゴス諸島を実際に訪れたら「ガラパゴス化」こそが日本の生きる道だと確信した話。取り残されたから世界の唯一無二になった

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3つの島に1週間以上滞在したが、アジア人をほぼ見かけなかった。1人だけ日本人に遭遇したが、国際結婚して海外に住んでいる人だった。

海外からの旅行客
ガラパゴス諸島を旅行中、アジア人旅行者にはほとんど会わなかった(写真:筆者撮影)

ひとり旅の旅行者も少なく、だいたいカップルか家族連れだ。サンタクルス島やイサベラ島を歩いていると、自転車のカップルに何度も抜かれた。とはいえ、多くのレストランに1人用のメニューがあるので、1人で困るという場面はほとんどない。

ガラパゴス諸島のビーチ
ガラパゴス諸島はカップル天国で、ひとり旅は肩身が狭い?(写真:筆者撮影)
イセエビ料理
ガラパゴス諸島ではイセエビが食べられると聞き、グーグルマップで一人客用のメニューがある店を探して食べた(写真:筆者撮影)

本土から900キロ離れた「隔絶された」島なので致し方ないが、宿もカフェもネットが遅い。通信環境が良かったのはスターリンクを入れていたイサベラ島のホステルだけだった。

宿泊したホステルのWi-Fi案内
ガラパゴス諸島は全体的にネットが不安定。イサベラ島で宿泊したホステルはスターリンクを導入していた(写真:筆者撮影)

世界一周で泊まった宿はだいたいオンライン決済できたが、ガラパゴス諸島は現金払いが基本だった。飲食店や旅行代理店もクレジットカードが使える店が少なく、使えたとしてもそれなりの手数料がかかる。

また、ガラパゴス諸島は入るだけで入島料など220ドルの支払いが必要で、島を行き来するフェリーの運賃が30ドル、フェリーに乗り降りするための渡し船の運賃が1ドルと、移動のたびにお金がかかる。イサベラ島は独自の入島料を設けており別に10ドル徴収される。

物価の高さと現金文化で、滞在中はATMに何度もドルを下ろしに行くことになり、メンタルが圧迫された。

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主体的な孤立で唯一無二に

不便でお金がかかるガラパゴス諸島。しかし唯一無二の存在であり続けるために、あえて障壁を作っているように見える。

イザベラ島の診療所
イサベラ島の診療所(写真:筆者撮影)

日本で「ガラパゴス化」という言葉が使われ出したのは、日本がIT分野で世界の潮流から取り残されるようになった2000年代初めのようだ

iPhoneが登場するとiモードやFeliCa(フェリカ)の国際化の失敗の代名詞のようになり、フューチャーフォンは「ガラケー(ガラパゴス携帯)」という別名がついた。「ガラパゴス化」はWikipedia英語版、中国の「百度百科」にも「日本のビジネス用語」として収録されている。

地元の住民
近くの海にシュノーケリングに向かう地元の住民(写真:筆者撮影)

「世界ナンバー1」ともてはやされた高度経済成長時代、バブル経済を経て、長いトンネルに入った時代だから、ガラパゴス諸島の「孤立した」「独自の進化を遂げた」環境が、「競争から取り残された」とマイナスに解釈されたのだろう。

しかし実際のガラパゴス諸島は主体的に孤立を続ける「孤高の楽園」だった。

イグアナ
道路にいたイグアナ(写真:筆者撮影)

日本の2024年の1人当たり名目国内総生産(GDP)は経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中24位。円安もあって1994年以降最も低い順位になった。

「ガラパゴス化」が日本の競争力低下を招いたとよく言われるが、実際のガラパゴス諸島は競争に左右されず唯一無二の存在として存立している。

サンクリストバル空港のラウンジ
プライオリティパスで入れるサンクリストバル空港のラウンジ。滑走路の高さで飛行機を眺められる(写真:筆者撮影)

欧州が中国勢の低価格EVに対抗するため、「小型EV(電気自動車)」枠を新設する。日本独自の規格で、海外メーカーから輸入車の参入を阻む存在とも目されてきた日本の軽自動車を参考にしたという。

ガラパゴス化という言葉が生まれた四半世紀前から、国際勢力図や米中、そして日本の立ち位置は大きく変わった。米中が自国の利益を追求する世界で、「ガラパゴス化」は日本の生きる道なのかもしれない。この地で進化論を着想したダーウィンのように、日本にとってのヒントも落ちているように思えた。

連載第1回(2025年5月公開記事)の記事では、ガラパゴス諸島を訪れた経験などから、観光地の「二重価格」について考察しました。あわせてお読みください↓
《ガラパゴスは入島税3万円》《マチュピチュは入場制限》 海外の有名観光地「混雑対策」の実情
浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆・分析、情報発信の助言など。

未婚で出産。42歳で初婚。子どもの独立を機に世界一周後、日本とベトナムで二拠点居住。

近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。

「東洋経済オンラインアワード」で2020年にニューウェーブ賞

X: https://twitter.com/sanadi37

公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

インスタグラム:https://www.instagram.com/sanadi37/

note: https://note.com/sanadi37

 

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